ホーム > キャリアカウンセラーとは? > カウンセラー藤野しのぶさんへのインタビュー
藤野しのぶさん
キャリアカウンセラー(フリーランス)
企業の女性管理職という立場から、フリーランスのキャリアカウンセラーに転職された藤野さん。カウンセラーとしての活躍の場をどうやって広げてきたのか。また、過去の経験や、継続的な学習が、日々のカウンセリングの実践にどのように活かされているのかをうかがってみました。
|
藤野しのぶ(フジノシノブ) 約15年間、コンピューター業界でSEとして活躍。管理職としてプレイングマネジャーを務める。さなかに産業カウンセラーの資格を取得する。その後会社を退職後、電話相談員としてカウンセラー業務に就きながら、さらにカウンセリングの学習を重ね、GCDF−Japanキャリアカウンセラーとなる。2002年1月より、(株)リクルート・キャリア相談センターのキャリアカウンセラーに。現在はフリーランスとして、複数の職場で活躍中。 |
カウンセリングの勉強をなぜ始められたのですか?
コンピューター業界での後半7年間は、管理職としてプレイングマネジャーをしていました。大変、忙しい職場でしたので、部下のケアや、自分自身のメンタルヘルスのために必要性を感じ、産業カウンセラーの勉強を始めました。
勉強をして、ご自分に向いていると思われたのですね。
いえいえ、それが全くその逆でして(笑)。勉強をしてみると、それまでの猛烈な働き方とは180度違う世界で、まったく向いていないなと思いましたね。
特にどのような点で、向いていないと感じられたのですか?
カウンセリングでまず傾聴を学ぶんです。傾聴では、話している人の気持ちに焦点を当てて聴くことが大切なので、自分自身の気持ちも表現して、ロールプレイングを行います。ところが、それまではビジネスの世界で、しかもシステムの世界で女性管理職として頑張るために、論理的に冷静に頭を使って勝負してきましたからね。自分の気持ちを表現するなんてマイナスでしかなかったんですよ。だから、まったくできなくて・・・・。
できなかったのに、なぜこの道を選ばれたのですか?
こんなに、できない経験は初めてだったので、逆におもしろいな、とのめり込んでしまいましたね。そして、その後、勉強を重ねる内に、これはもっと徹底的にやろうと思い、会社を辞めてこの道に入りました。
それまでSEとして、そして女性管理職として頑張ってこられたのに、大きな転機でしたね。
それはそれは悩みましたよ。社内でカウンセラーとして働ける道も探りましたが、管理部門への異動は無理でしたし、それまで働いてきた会社ですと、カウンセラーとして中立的な立場を保つこともむずかしかったもので・・・。最終的には、“人に話を聞いてもらうことってすごく大切”という思いが自分の中で大きくなっていて、この道を選びました。
会社を辞めて、仕事はすぐに見つかったのですか?
勉強仲間の紹介で、電話相談の会社が新しくできる情報が入り、電話相談の仕事を始めました。それは週に2回のパートでしたので、同時に、放送大学の心理学や、カウンセラーの向上訓練、そして、精神保健福祉センターでの電話相談員養成講座など、勉強を重ねました。これら学習の機会も、仲間からの情報が多かったです。
カウンセラー仲間の情報から、仕事や勉強の機会を得ることができたんですね。
そうですね。そういう意味ではネットワークというか、同じ道を志す仲間同士の情報交換は大切だと思います。(株)リクルートのキャリア相談センターの応募のときも、知人からの情報で立ち上げに伴ってカウンセラーを一般公募していることを知ったんです。たまたまご縁があって、2002年1月からキャリアカウンセラーとして週に何度か勤務しています。それでGCDFで本格的にキャリアカウンセラーの勉強も行い、資格も取得しました。
産業カウンセラーをお持ちで更にGCDFも学ばれたのですね。
はい、リクルートがGCDFを推奨していたというのもあったのですが、やはりキャリアカウンセラーとしてGCDFのトレーニングを受けて、ヘルピングについてもじっくりと学んだことは大切な機会だったと思います。産業カウンセラーではカウンセリングにまず大切な、傾聴をじっくり学びましたが、GCDFのトレーニングでもヘルピングの実践トレーニングを大事にしていることは「我意を得たり」というか、カウンセリングの基礎を大事にしている姿勢に安心感を覚えました。さらに、キャリア開発に関しての理論や、真近の労働市場について学んだり、さまざまなアクティビティーやアセスメントを使ってのトレーニングもあって、それはいまのカウンセリングの場面で実際に活用しているものです。
では、いまのお仕事の内容を教えていただけますか。
この4月より、(株)リクルートのキャリア相談センターへ週に2日の勤務。ほかの3日は、某IT関連企業の社内キャリアカウンセラーとして勤務しています。
(株)リクルートでは契約企業の従業員の方へのカウンセリング、そして個人の方へのカウンセリングを行っています。
企業の方々は若手から中堅の方々、20代後半から30代が今のところ主な対象です。自分のキャリアを考えるという集合型のプログラムを経験していただいた後に、私達キャリアカウンセラーが個別カウンセリングを行います。ご自身が自立し、目指していきたい方向をしっかりと見出し、会社が求める方向とのすりあわせをしていくというカウンセリングもありますし、フラットに自分のキャリアを考える支援をするというカウンセリングもあります。
個人の方も20代から30代、若手の方が多いです。働きながら、転職を考えている方や、このままでいいのかな、と不安を抱いている方など、さまざまですね。男女比ではどちらかというと女性の方が多いでしょうか。
某IT関連企業では、若手社員と上司とカウンセラーとの三者で、キャリア支援面談を、1日に3〜4組、継続的に実施しています。入社後3年間、年に1回行うものです。自分がどちらの方向へ向いていて、今の仕事がどのように役立っているのか。そういったことを年に1度でも、上司とともに立ち止まって考え、理解し、共有することが大切だと思っています。
具体的にカウンセリングでは、どのようなことを・・・・・?
悩んでいるだけでは、じっと考えているだけでは、わからない。適性検査をしても、すぐに適性が合う仕事がわかるわけではないんです。積極的に動き、情報を集めたり、人の話を聞いたり、場合によっては実際にやってみたり、勉強をしてみたり・・・。自分に合う仕事って、動くことによって見えてくるものだと思います。「やっぱり動いてみないと」と、ご本人が考えてくれたらいいな〜という思いで、私はちょっと背中を押しているような感じでしょうか。
今の仕事のどこにやりがいを感じていますか?
単純におもしろいですよ。相手の話をしっかりと聞いていると、思いがけないすごい答えが返ってくることがあるんです。人って本当におもしろい。 例えば、考えるだけでまったく動けなかった方が、ちょっと背中を押しただけで、次回には予想以上の行動力でいろいろなことを学んできている。私も情報を準備しておくのですが、相手は私のはるか先へ行っていて、自分の中で結論まで出ていることもあって、びっくりです。 私の想定を超えることが多くあるので、こちらも元気をもらったり、学んだりしています。
逆にどのような点がむずかしいと感じていますか?
むずかしいと思うときは、すごく多いですよ。本来カウンセラーは、スーパーバイザーにいろいろなケースを相談しながら仕事を進めていくと良いといわれています。でも、キャリアは新しい分野なので、現場で経験を重ねた上で、スーパーバイザーのトレーニングを受けた方はあまりいらっしゃらないのが現状です。ですから、むずかしさを抱えたときに、相談できる相手、解消できる場をカウンセラー仲間で作って、試行錯誤しながらやっています。
これから、どのような方向を目指していきたいですか?
今後は、中高年の方々を対象に、転機の支援のようなことができるようになりたいです。自分自身も悩んだ揚句に、会社を辞めました。中年の危機、というか、転機といいましょうか、悩まれる方は多いと思いますし、人生80年代時代に、ひとりひとりが65歳、70歳までどのように働いていくのか、大切なことだと思います。そういったサポートができるようになるスキルを身に付け、仕組みづくり、場づくりをしていきたいですね。
キャリアカウンセラーを目指す方々へメッセージをお願いします。
良い仕事だと思います。どんどん目指していただきたいとは思いますが、逆に目指すのであれば、20代、30代のときは、組織の中での経験やできれば管理職としての経験を積むことによって、キャリアカウンセラーとしての支援ができる幅が広がると思います。ですから若い内は、目の前の仕事にしっかりと取り組み、いろいろな思いをしてみることも、行く行くはカウンセラーとして生きてくると思います。
また、カウンセリングを学ぶことはカウンセリングの場面に限らず、営業でもSEでも、いろいろな職場で活かせると思います。今後、さまざまな経験をもった方が目指していただけると嬉しいですね。
(2004年7月取材)
特定非営利活動法人 キャリアカウンセリング協会
〒105-0004 東京都港区新橋1丁目18番21号 第一日比谷ビル7階
Tel. 03-3591-3569 FAX. 03-3591-4665
E-mail info@career-npo.org URL. http://www.career-npo.org/