キャリア支援の取り組み事例
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- 【法人支援事例】NECネッツエスアイ株式会社「点を線にし、支援を現場へ 仕事とキャリアをつなぎ直す自律支援の再設計」
点を線にし、支援を現場へ
仕事とキャリアをつなぎ直す自律支援の再設計
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小林 隆哉 様
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寺村 康伸 様
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馬場 健 様
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西沢 康夫 様
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※役職は取材時点
キャリア相談や年代別の取り組みは実施していたものの、従来の年代別プログラムは外部委託で、キャリア相談室は関与していませんでした。30代・40代・50代で行われていたものの、そのつながりが見えにくい状態だったと振り返ります。
求めていたのは、外部に丸ごと委託することではなく、社内でコンテンツも実施も内製できるキャリア支援プログラム、そして参加者の対話を促すワークショップの設計でした。複数社に相談するなかで内製化支援は難しいと言われることもあった一方、CCAはコンテンツを設計し、それをNECネッツエスアイ側が実施できるスキームで相談できたことが大きな理由でした。
2024年6月からスタート。既存施策の棚卸し、支援全体の整理、年代別プログラムのコンセプトの検討、Must・Can・WILLをつなぐプログラムストーリー、上司との連動設計、50歳向けプログラムの具体化までを伴走しました。
プロジェクトを通じて、年代ごとに何を支援したいのかを言語化できたことが大きな手応えとして語られています。50歳向けワークショップでは、マルチサイクルデザインツールのキャリア曲線を軸に、自分の歩みを振り返り、同世代との対話を通じてキャリアを深く考える時間が生まれました。
制度はある。けれど、「つながり」が見えていなかった
2021年6月よりキャリア相談室では、社員に向き合い、面談(手上げ)の業務を行っていました。ただ、個人とキャリアアドバイザーの面談だけでは、手上げ制ということもあって、面談できる社員数は限られていました。人事や関係部門と連携していく必要があって、もっと現場に広く関与する入り口が必要だと感じていたんです。
教育や研修という形で「面」で社員と関わることができれば、組織的な介入や全体傾向の把握にもつなげやすくなります。中長期的には、組織開発的なアプローチにもつなげやすくなるのではないか、という展望もありました。
はい。年代別の取り組みやキャリア相談、1on1、人材公募など、制度自体はありました。ただ、「なぜそれがあるのか」というところが、十分にひもづいていなかったのかなという気はします。
年代別のプログラムも、30代、40代、50代と実施していました。ただ、それまでの取り組みはつながりが見えにくいというか、ぶつ切りのような感じがありました。きちんと会社として年代別の取り組みをキャリア施策のなかに組み込んでいく必要がある。そのスタートラインに立てたのが、今回の取り組みだったのではないかと思います。
ご相談する前年度に、厚生労働省のキャリア形成・リスキリング推進センターに支援いただき、定年前の年代の人にセルフ・キャリアドックを提供しました。その過程で社員の声を拾っていくなかで、人事としてはキャリアに向き合う機会を設けているつもりだったけれど、社員には行き届いていない、ぶつ切りの自己満足の施策になってしまっていた、という反省がありました。
社員がどの年代であっても、自分のキャリアに向き合える機会を設計できるようにしたい。自分の生活と仕事、そのなかでの人生とキャリア自律がつながるように、体系立てて再整備する必要があると感じていました。
外部委託ではなく、内製で広げたかった
プログラムをまるごと研修会社に委託する予算が確保されていないという実情もありました。キャリア相談室で、設計、コンテンツ作成、実施をすべて内製化する。そのことにより、キャリア相談室は多くの受講者(社員)と接点を持ちますし、その後のフォロー面談に持ち込むこともできる、と考えていました。ただ、一からコンテンツを設計して研修実施した経験のある者は社内にいませんでした。そこで外部パートナーに、コンテンツ設計・作成・研修実施のノウハウを委託しようと考えたのです。
はい。複数の他社さんにも相談しましたが、内製化の支援であれば対応できないと言われました。研修コンテンツの企画設計から、研修の実施まで一括で委託しないと、ビジネスとして成り立ちにくいということだと思います。
一方CCAさんは、コンテンツを設計して、それを使って私たちが実施できるというスキームで相談できました。そういう形は、CCAさんしかなかったですね。キャリア領域での実績もありましたし、更新講習などもコンテンツや講師陣がそろっている。もうこれはお願いするしかないかな、と思いました。
まず研修ではなく、全体像を一緒に描いた
当時の状況からすると、全体感の設計から携わっていただけたことは本当にありがたかったです。体系の提案から入るのではなく、私たちがこれまで取り組んできた内容を丁寧に棚卸しするところから支援いただいたように思います。
そのなかで、自分たちが大切にしていきたいこと、これからも続けていきたいと思っていること、見直してもいいのではないかと思っているところを、一緒に言語化していただきました。プログラム単独で設計するというより、キャリア自律支援を会社のなかに体系立てて整備して提供していく。その過程を、対話を通して支援いただいたように感じています。
チームビルディングと体系化と、次の本番となるプログラム設計。そのいずれにも、大変ありがたい支援だったと思います。NECネッツエスアイの人事のキャリア自律支援チームがワンチームになっていく過程を支援いただいた感覚があります。
最初のゴールをどこに置くのかは、みんなでかなり時間をかけて話しました。個人なのか、仕事なのか、何を通じて支援するのか。そこで「NECネッツエスアイで仕事をすることへのエンゲージメントを高める」ということをベースのテーマにすることで、現場への腹落ち感が出るのではないか、という仮説が置けたように思います。
「仕事を通じてキャリア形成をしていく」という軸
全体像を整理していくなかで、「仕事を通じて私たちはキャリア形成をしていく」というところにヒントをいただきました。それがスタートになって、全体の流れを整理していった感じがあります。
NECネッツエスアイの社員は、仕事には本当に真面目に一生懸命取り組む人が多い。一方で、先々のキャリアが明確でなかったり、少しモヤモヤしていたりするところもある。そこに対して、エンゲージメントを高めていこうという話になったと記憶しています。
そうですね。ワークショップという形にすると、普段の仕事とは別の世界の話のように思われる可能性があります。でも、実際は自分がやっている仕事とキャリアは結びついている。そのことを明確に示していただいたのではないかと思います。
職場でちゃんと支援するものだ、ということも資料に描かれていたと思います。経験学習モデルに近い考え方でもありますね。
Mustから入り、Canを広げ、Willを見つける
Must、Can、Willの順番は、かなりこだわっていました。通常だとWillから入ることもあると思います。ただ、最初から明確なWillがある人は、あまりいない。いる人もいますが、通常はそうではないと思っています。
まず、職場でどのような期待役割(Must)があるのか。そこを自分で掘り下げていくと、少しずつ広がっていきます。自分のジョブの範囲が広がり、それがCanにつながっていく。そのなかでWillが少しずつ見えてくる。そういう順番になりました。
当面の業績達成とキャリア形成を別々に考えるのではなく、両方にまたがる共通課題を見つけて取り組むことが大切だと思います。MBO面談でも、業務目標だけでなくキャリア目標を設定するときに、両方に共通する課題をどう見出すかが重要になる。そうした考え方が資料にも整理されていました。
目の前のMustのなかで、自分に何が必要かに気づく。仕事を通じて力をつけ、その先にキャリアを考えるようにすると、自分事として捉えやすくなる。そこが大事だと思っています。
年代別研修を、NECネッツエスアイの言葉で作り直す
年代別の取り組みは以前からありました。ただ、どちらかというと、受講すること自体が目的化してしまっていました。本当の意味で、社員がそれぞれのライフステージで感じるであろう課題を言葉にして、どのような状態になることを支援していくのか。そこまで考え抜くことはできていなかったように思います。
プログラムごとに、提供いただくベンダーさんから示された目的には合意して発注していました。ただ、会社側が戦略的な意図を持って委託設計していたと言える状態ではなかった。まさに、つながっていない状態だったと思います。
年代をどう分けるか、会社のステージと言葉や考え方をどう合わせるかを議論しました。世の中のものをそのまま持ってくると、いま使っている自分たちの言葉や、コンセプト、伝えたいことと微妙に違ってしまう。それを押しつけてはいけないので、会社の言葉に変える必要がありました。
今回、年代別にNECネッツエスアイの社員としてのありたい姿や、行動したいレベル感を言語化したのは初めてだったと思います。そこが腹落ち感のある、大事な資料になりました。今後の30代、40代向けプログラムの位置づけを改めて考えるうえでも、ベースになると思います。
資料では、30代は「もっと自律的に責任ある仕事がしたい」、40代は「自分らしく仕事をして成果を発揮したい」、50代は「新たな自分らしい役割・居場所づくりをしたい」という形で、社員の思いを焦点化しています。必要な行動としては、30代では非定型業務や想定外の状況対応力を強化し、信頼を獲得すること。40代では自分らしさや自分軸を日常業務に発揮すること。50代ではキャリア資産・資源を棚卸しし、組み替え、新たな役割づくりや居場所づくりを行うことが整理されました。
今までは、30歳になったからやる、40歳になったからやる、という点のイベントになっていたと思います。でも、やはり線で、連続的に考える必要があるよね、という話をしました。人生やキャリアを線で見ていく。キャリア曲線のようにつながりで見ていく発想が、ここにあったと思います。
言葉も大事です。以前は「ステップアップ休暇」だったものが、「キャリアデザイン休暇」になっています。キャリアデザインという名前になると、そこで何か考えなければいけないというアテンションになります。こうした言葉も、研修や制度のつながりと関係していると思います。
50歳向けワークショップで、自分の歩みを語り直す
一番中核にあったのは、マルチサイクルデザインツールのキャリア曲線だったと思います。「広げる」「深める」を描いていく。それを事前課題でどれだけ受講者がやってくれるか不安だったのですが、音声付きのガイドも用意していただいて、わかりやすいスライドがよかったんです。
みなさん、ちゃんとやってくださいました。ものすごく精緻に書いてくださった方が多くて、「こんなに真面目にやってくれるんだな」と本当に感激しました。事前課題のキャリア曲線をベースに、最後のキャリアデザインシートまでつなげていく。一人ひとり、別の宇宙を作っていただいたような感じでした。
うちの会社は、本当にいろいろな事業をやっています。お客様には「海底から宇宙までやっている会社です」と伝えています。このため、さまざまな現場で働いてきた経験のある方がいるのです。本当に多様性にあふれている会社だと感じました。
一本のシナリオで進めると、取り残される方がかなりいると思います。今回のワークショップは、いろいろなコンテンツや考え方が入っていて、広げて閉じて、広げて閉じて、という作り方になっていました。入り口がたくさんあったことで、ワークも活発になりましたし、振り返りも深まったのではないかという気がしています。
完成したワークショップコンテンツを振り返ると、マルチサイクルのワークで、キャリアステージごとの経験・学びや影響を受けた人を振り返るグループワークがありました。みなさん、すごく真面目に仕事をされているけれど、目の前のところしか振り返れない面もある。そこを丁寧にワークで振り返ることで、入社以来の過去も振り返り、「自分はNECネッツエスアイが好きで、こんな仕事をしてきたんだな」と見えてくる時間がありました。加えて、グループワークのなかではお互いを肯定し承認し合う時間もありました。ワークショップ全体の雰囲気としても、自己の内面に目を向けながらキャリア資産を棚卸しし、新たな役割や居場所づくりが整理できる時間を提供できたのではないかと感じています。
支援する側も、キャリア支援を語れるようになる
コンテンツを作ったり、研修実施を考えたりすることは、人のキャリアを考えるという意味ですごく役に立ちました。キャリアアドバイスをするうえでも、頭のなかがかなり構造化できるようになった感じがあります。そういう意味では、自分自身の成長にもつながったと思います。
それから、チーム形成のプロセスとしても役立ちました。こういう作業がないと、価値観はなかなかわかりません。やりとりをするなかで、仕事をするうえで、この人はこういう考え方を持っているのだとよくわかりました。チーム形成という意味でも、有意義だったと思います。
そうですね。今回の取り組みを通じて、このプログラムはなぜあるのか、年代ごとに何を支援したいのか、仕事とどうつながるのかを、自分たちで考えることになりました。今後も年代別プログラムは形を変えて実施していくと思いますが、その考え方のベースになるものができたのではないかと思います。
キャリア面談がある、ワークショップがある、キャリアデザイン休暇がある、人材公募がある。そういう一つひとつが、なぜあるのか。そこに一貫性が出てくると、より良くなると思います。
支援を点で終わらせず、現場に循環させる
NECネッツエスアイ様の取り組みから見えてくるのは、キャリア支援を「研修」や「面談」という単独の施策で完結させず、仕事、上司との対話、年代ごとの成長課題、社内制度とつなげていくことの大切さです。特に印象的だったのは、「キャリア」を日常業務から切り離さず、MUSTから入り、CANを広げ、その先にWILLを見出していく設計でした。キャリア自律を遠い理念として語るのではなく、目の前の仕事のなかに成長テーマを見つける。その考え方が、NECネッツエスアイ様の社員に届く支援を形づくっていました。
もう一つの要は、内製化を「外部に頼らないこと」ではなく、「社内にキャリア支援を語れる人を増やすプロセス」として進めた点です。既存施策を棚卸しし、年代ごとの成長テーマを言語化し、ワークショップを自分たちの言葉で届けられるようにする。その過程そのものが、支援する側の学びにもなっていたと語られていました。
点在していた施策を線で結び、現場で循環する支援へと育てていく。今回のプロジェクトは、まさにその始まりを示すチャレンジであったように思います。
リクルートグループにて営業職・人材開発・事業企画などを経てCCAに入職。
以来、数多くの法人・企業のキャリア支援施策の企画・推進を支援。
