キャリアカウンセリング協会は、キャリアコンサルタント/キャリアカウンセラーの資格・研修・教育・試験・更新講習・継続学習・相談・支援・指導者養成などの運営団体です。

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キャリアコンサルタントをめぐる社会的環境と期待

日本は労働人口減少社会に突入しています。豊かな社会を維持するためには、技術革新や新たなビジネス機会の開発を積極的に推進する一方で、働く人一人一人の生産性を今以上に向上させなければなりません。そのためには、一人一人が自らの能力を引き上げ、持てる力と意欲を最大限に発揮できるようにする必要があります。

多くの働く人が今以上に活躍できる社会の実現に向けては、第一に、個々人に見合った働き方が選択できるよう「働き方を多様化」することが求められます。第二に、働く人が「自らのキャリアについて主体的に考え、自らの能力向上開発の目標や身に付けるべき知識・能力・スキルを確認する機会」を整備することが重要です。

しかし従来、働く人の能力開発の主たる担い手であった企業は、指導する人材の不足や時間の不足などで人材育成を行う余裕を失いつつあり、人材育成投資についても減少傾向にあります。

したがって現在の日本では、働く人が主体的なキャリア形成を希望しても、どのようなキャリアの選択肢があるのか、どのような教育訓練の機会があるのかなど、具体的に何をして良いのか分からないのが現実であるといえます。

こうした状況を踏まえ、国は「働く人の主体的なキャリア形成を支援する専門家」としてのキャリアコンサルタントを、2023年度までに10万人養成することを計画し、2016年4月には名称独占国家資格としました。

キャリアコンサルタントに直接期待される役割は、働く人が「自らの興味、適性や能力についての自己理解を深め、労働市場や職場などの自らの置かれている環境を正しく把握し、自らの能力を最大限に発揮するために何に取り組む必要があるかを意思決定する」ことができるように、面談を中心とした質の高いサポートを実践することです。企業においては、人的資源の多様化やワークライフバランスを配慮した人的配置が重要な課題となる中で、専門家としてのキャリアコンサルタントの意見を踏まえて労働施策、人事施策を講じ、自律してキャリア形成を行う従業員を育成することが、生産性の向上に資することになります。学校教育機関や需給調整機関においても同様に、主体的なキャリア形成を行うことのできる人材の輩出及び適職選択の支援という役割が求められていることから、そのような専門家の活用が効果的です。このようにキャリアコンサルタントには、働く人のキャリア支援を通して、激しく変化する国内外の環境変化の中で豊かな日本を維持し、更なる成長を実現するための国家政策を支えていく大きな役割が期待されているのです。

注記:キャリアコンサルタントの国家資格を規定する根拠法である改正職業能力開発促進法では、その基本理念に「労働者は、職業生活設計を行い、その職業生活設計に即して自発的な職業能力の開発及び向上に努めるものとすること。(第三条の三関係)」として、労働者が自らキャリア形成に義務と責任を持つことが明文化されています。また「事業主が必要に応じ講ずる措置として、労働者が自ら職業能力の開発及び向上に関する目標を定めることを容易にするために、業務の遂行に必要な技能等の事項に関し、キャリアコンサルティングの機会の確保その他の援助を行うことを追加すること。(第十条の三第一号関係)」として、企業は労働者の主体的なキャリア形成を支援する責任があることが明記されました。

なぜ国家資格なのか

キャリアコンサルタント国家資格制度の特徴は以下の3点です。

1. 登録制度

国家資格を取得するためには、国が認定した養成講習を修了し、国家試験(学科、実技)に合格するだけでなく、国が指定した登録機関に登録しなければなりません。なお国家試験の受験及び登録機関への登録には一定の資格条件が課せられています。


2. 名称独占

国家資格を取得していない者は、キャリアコンサルタントまたはこれと類似する名称を名乗ることができません。違反の場合は罰則規定が設けられています。


3. 更新制度

資格取得後5年の間に、国が指定した更新講習を38時間(知識8時間、技能30時間)以上、受講修了しなければ資格更新ができません。


キャリアコンサルタントの国家資格にこのような厳しい条件が課せられている理由は、「働く人が、自分の職業人生という重大な問題を安心して相談できる」ようにすることに尽きます。従来、国民の生命、財産、安全を守る職業のみに設けられていた国家資格にキャリアコンサルタントが列せられたことの意味は、それだけ国がキャリアコンサルタントに寄せる期待の大きさを証するものであり、その資質担保を極めて重視していることを顕わしています。

CCAが考えるキャリアコンサルタントの質

こうした環境変化の中で、質の高いキャリアコンサルタントとはどのような専門家なのでしょうか。

働く人を取り巻く労働環境が大きく変化していく時代にあっては、キャリアコンサルタントに、労働市場、法律、社会保障制度、能力開発手段やそれを助成する制度や仕組みに関する豊富で最新の知識が求められることは容易に想像がつきます。あるいは多くの相談者が企業組織で働いていることを考えれば、企業経営や人事制度、労務管理、精神福祉等の基礎知識が最低限必要です。そうした知識が乏しければ、どんなに支援したいと思っても有効な助言やアドバイスはできません。

しかしながらそうした知識を適切に使いこなす前提には、より本質的で重要な要素があります。それは、キャリアに関する相談は相談者の生き方の選択に関わる心の問題であり、キャリアコンサルタントは相談者の生涯にわたる職業生活設計と職業人としての生涯発達に関わるという事実です。

多くの日本人にとって、人生の半分は仕事をしている期間であり、仕事を社会の中で果たす役割と捉えるなら、人生の殆んどすべてといっても過言ではありません。私たちCCAでは、「キャリアとは、働くことにまつわる自由時間、余暇学習、家族との活動などを含んだ個人の生涯にわたる生き方のプロセスである」と定義しています。つまり、キャリアとは仕事を核にした人生展開なのです。

働く人、働きたい人にとってキャリアを考えることは、自分にとって満足できる自分らしい職業生活の実現に向けて、人生のある時点で自分はどんな生き方、働き方をしたいのかを考えることに他なりません。そしてそれを支援するキャリアコンサルタントの役割とは、相談者が自分らしい生き方や働き方を自らの意思で選択できるように支援することです。キャリアコンサルティングとは、単に適職紹介をしたり就職情報を提供するのではなく、相談者一人一人の自分らしい生き方、すなわち生涯にわたる職業生活設計に関わる支援をすることなのです。

相談者一人一人異なる生き方を理解し、共に考えながら、未来に向けての主体的な選択を支援するという本質の技能を磨くことに「これで終わり」はありません。キャリアコンサルタント自身の厳しい自己理解と常に自己研鑽を怠らない姿勢が、決定的にその質を左右することでしょう。そうした土台の上に立って、必要な時に適切な助言、アドバイスができる知識を更新し続け、どんなクライアントのどのような相談にも安定して支援ができるキャリアコンサルタントのことを、私たちは「プロのキャリアカウンセラー」と呼んでいます。

これから先の日本では、数多くのキャリアコンサルタントが誕生し、さまざまな場所、領域での活躍が期待されることになります。しかし資格者の普及拡大が進むにつれ、その質を問う声が社会的に高まり、真にプロフェッショナルな専門家へのニーズが増していくことでしょう。私たちCCAでは、協会設立の当初から「プロのキャリアカウンセラー」を育成し、世に送り出すことを活動目的の一つに掲げ、歴史を刻んでまいりました。国家資格を取得したキャリアコンサルタントが、その資質を向上させる目標としての公的資格には、既に技能検定2級、1級という仕組みが存在していますが、そのレベルをも超えてより高い資質を獲得し、磨き続けていくキャリアコンサルタントを、私たちCCAは応援し続けます。

世界では

イギリス

イギリスではキャリアサポート職としていくつかの細分化がされており、主なものは

  • 学校で出席率が低かったり、能力が活かしきれない、学校になじめない生徒の支援としてラーニングメンター
  • 学校・カレッジ・大学、成人向けのガイダンス機関などで予約制によるクライアントの面会・アドバイスを行なうキャリアアドバイザー
  • 13歳から19歳を対象にキャリア・能力開発、対人関係、金銭、麻薬等のガイダンスを実施するパーソナルアドバイザー
  • 学校・カレッジ・病院、情報ガイダンス機関や独立開業でカウンセリングを実施するカウンセラー

などがそれぞれ、一定のプログラムの学習や経験を積んだ上で活躍しております。
※厚生労働省「キャリアコンサルティング研究会」平成21年3月発表に基づき作成


アメリカ

アメリカにおいてカウンセリングは治療・診断に関して保険適用を受けることが可能であり、その適用を受けてカウンセリングを実施できるカウンセラーになるためには、各大学教育機関でカウンセリングの修士レベル取得や実務経験・試験による、各州の法令にもとづいた免許制度(州立カウンセラー免許Licensed Professional Counselor)に合格なければなりません。
また、保険適用外でもキャリアサポートの必要のある人材(ワンストップセンターの職員他)は専門家の傍らで人々のキャリアに関わる目標達成を支援のファシリテーション、ガイダンスを行うためにキャリアディベロップメントファシリテーターCDFとして指定カリキュラムの受講やそれまでの経験などを加味した上での資格取得ができ、キャリアに関わる目標達成をするため、ファシリテーション、ガイダンスなどを実施し活躍しております。

※厚生労働省「キャリアコンサルティング研究会」平成21年3月発表に基づき作成


他国においても

CCAの推奨している「GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラムは米国でスタートし、現在米国・日本だけでなく、中国・ドイツ・カナダ・ブルガリア・ルーマニア・ニュージーランド・トルコ・韓国等でも各国の事情に合わせて運営されており、各国それぞれキャリアに対するサポートの必要性とともに導入がすすんでいます。

各国キャリアサポート

CDFのグローバルバージョン

米国、日本、中国、ドイツ、カナダ、ブルガリア、ルーマニア、ニュージーランド、トルコ、韓国他