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キャリアコンサルタント/キャリアカウンセラー
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2020年5月
理事長 藤田真也

キャリアコンサルタント/キャリアカウンセラー
を取り巻く環境
-コロナ禍による社会環境変化を踏まえて-

1.コロナ後の働き方、生き方、キャリア支援
2.キャリアコンサルタントに期待される役割の歴史的変遷
3.国家資格制度の特徴とその理由
4.CCAが考えるキャリアコンサルタントの質
5.<参考>世界では

1.コロナ後の働き方、生き方、キャリア支援

 世界と日本はコロナ禍による健康・生命の不安と未曽有の経済的打撃の真っただ中にあります。ウイルスと人類の戦いは長期化することが予想され、今後は共存への道を探っていくことになると言われています。その一方で、私たちの生活は大きくかつ急速に変化しつつあります。
 感染症ウイルスは、私たちの働き方や生活に多大な物理的影響を与えているだけでなく、多くの人がこれまで当たり前だと思っていたことを見つめ直し始めています。「私はどのように働きたいのか」「本当はどのように生活したいのか」と、一人ひとりが自らに生き方の問い直しをせざるを得ない状況は、やがてうねりとなって社会全体に拡がっていくことでしょう。そして人生や幸福についての「ものの見方・考え方」はますます個別化し、働き方も生き方も一人ひとり個性化していくことでしょう。こうした流れは全体として見れば不可逆的に進んでいくものと思われます。
 そうした中で、キャリア支援にかかわる専門家の役割もまた、一層の深化・進化が求められることは間違いがありません。
 第一に、働き方や生き方の選択にあたって、これまでのステレオタイプのモデルやキャリア支援者の経験則が通用しなくなるとすれば、キャリア支援者はこれまで以上にクライアントその人の在り方にしっかりと耳を傾け、深いレベルで受けとめ、賢しらな評価を慎んで、クライアントの傍らに「いること」の重要性が増すことでしょう。これは並大抵のことではありません。
 第二に、社会経済環境が大きく変化し、また少子高齢化の進行と働く期間の長期化が進む中で、例えばシニア層には様々な問題(収入格差、貧困、老老介護、独身者の増加、身体的健康、認知症・・・)が集約化していくことになるとすれば、これにキャリアコンサルタントが一人で支援することは困難であり、他の領域の様々な専門家とどのように連携して、共同して支援にあたれるかが問われることになるでしょう。
 そして第三には、キャリア支援にあたって、これまでのような1対1の対面方式以外に、オンライン等の新たな通信技術や、AIを含む支援テクノロジーに対応できるスキルが求められることになることでしょう。
 こうしてキャリア支援者に求められる役割と資質は環境に対応して変化していくわけですが、キャリア支援者への期待が今後ますます高まっていくこと、より多くの働く人が支援を必要とする状況が訪れることは間違いないと思われます。


2.キャリアコンサルタントに期待される役割の歴史的変遷

キャリアコンサルティングを含む日本の職業能力開発政策の方針と実行計画は、5年ごとに策定・公布される「職業能力開発基本計画」に定められています。 キャリアコンサルティングという概念が初めてこの計画に登場したのは、第7次計画(2001年)でした。この時のキャリアコンサルティングの役割機能は、失業率の高まりを解消するために「雇用の安定・拡大のための就業支援施策の一環としてのキャリアコンサルティング」と位置づけられました。
 次いで第8次計画(2006年)では「働く者を育てる環境づくりのソフト面の要素であるキャリア支援施策としてのキャリアコンサルティング」として、当時クローズアップされていたメンタルヘルス問題を含む職場環境整備の役割が強調されました。 第9次計画(2011年)では、少子高齢化による働く期間の延長を見据えて「職業生涯を通じたライフ・キャリア形成支援施策としてのキャリアコンサルティング」として、キャリアコンサルタントは働く人の生涯にわたって職業・人生両面を支援し続けることが初めて打ち出されました。
 そして第10次計画(2016年)では、「企業活力に貢献する施策としてのキャリアコンサルティング」として、キャリアコンサルタントは働く人個人だけでなく企業生産性の向上にもかかわることで、日本の国力を維持・向上させる役割をも担うことが明確に打ち出され、同年に国家資格化されたのです。
 更に2020年からの適用として、これからのキャリアコンサルタントに求められる能力要件の中に新たに「セルフキャリアドック等の企業におけるキャリア支援の実施/リカレント教育等による個人の生涯にわたる主体的な学び直しの促進/職業生涯の長期化、仕事と治療、子育て・介護と仕事の両立等の支援/クライアントや相談場面の多様化への対応に関する知識・技能」という5つの要件が追加されました。 このようにキャリアコンサルタントの役割や求められる能力要件は、日本の国家政策と労働環境変化を受けて変化し続けるものです。次の基本計画は第11次(2021~)となりますが、コロナ禍による社会経済環境の変化が働く人に新たに求める能力要件と、働く人自身の働き方・生き方に関する意識・価値観の変化が反映され、それによってキャリアコンサルタントに求められる役割もまた変化していくものと思われます。


3.キャリアコンサルタント国家資格制度の特徴とその理由

キャリアコンサルタント国家資格制度の特徴は以下の3点です。
① 登録制度
国家資格を取得するためには、国が認定した養成講習を修了し、国家試験(学科、実技)に合格するだけでなく、国が指定した登録機関に登録しなければなりません。なお国家試験の受験及 び登録機関への登録には一定の資格条件が課せられています。
②名称独占
国家資格を取得していない者は、キャリアコンサルタントまたはこれと類似する名称を名乗ることができません。違反の場合は罰則規定が設けられています。
③更新制度
資格取得後5年の間に、国が指定した更新講習を38時間(知識8時間、技能30時間)以上、受講修了しなければ資格更新ができません。

 キャリアコンサルタントの国家資格にこのような厳しい条件が課せられている理由は、「働く人が、自分の職業人生という重大な問題を安心して相談できる」ようにすることに尽きます。従来、国民の生命、財産、安全を守る職業のみに設けられていた国家資格にキャリアコンサルタントが列せられたことの意味は、それだけ国がキャリアコンサルタントに寄せる期待の大きさを証するものであり、その資質担保を極めて重視していることを顕わしています。


4. CCAが考えるキャリアコンサルタントの質

 では質の高いキャリアコンサルタントとはどのような専門家なのでしょうか。 働く人を取り巻く労働環境が大きく変化していく時代にあっては、キャリアコンサルタントに、労働市場、法律、社会保障制度、能力開発手段やそれを助成する制度や仕組みに関する豊富で最新の知識が求められることは容易に想像がつきます。あるいは多くの相談者が企業組織で働いていることを考えれば、企業経営や人事制度、労務管理、精神保健福祉等の基礎知識が最低限必要です。そうした知識が乏しければ、どんなに支援したいと思っても有効な助言やアドバイスはできません。
 しかしながらそうした知識を適切に使いこなす前提には、より本質的で重要な要素があります。それは、キャリアに関する相談は相談者の生き方の選択に関わる心の問題であり、キャリアコンサルタントは相談者の生涯にわたる職業生活設計と職業人としての生涯発達に関わるという事実です。
 多くの日本人にとって、人生の半分は仕事をしている期間であり、仕事を社会の中で果たす役割と捉えるなら、人生の殆んどすべてといっても過言ではありません。私たちCCAでは、「キャリアとは、働くことにまつわる自由時間、余暇学習、家族との活動などを含んだ個人の生涯にわたる生き方のプロセスである」と定義しています。つまり、キャリアとは仕事を核にした人生展開なのです。
 働く人、働きたい人にとってキャリアを考えることは、自分にとって満足できる自分らしい職業生活の実現に向けて、人生のある時点で自分はどんな生き方、働き方をしたいのかを考えることに他なりません。そしてそれを支援するキャリアコンサルタントの役割とは、相談者が自分らしい生き方や働き方を自らの意思で選択できるように支援することです。キャリアコンサルティングとは、単に適職紹介をしたり、就職情報を提供したりするのではなく、相談者一人一人の自分らしい生き方、すなわち生涯にわたる職業生活設計に関わる支援をすることなのです。
 相談者一人一人異なる生き方を理解し、共に考えながら、未来に向けての主体的な選択を支援するという本質の技能を磨くことに「これで終わり」はありません。キャリアコンサルタント自身の厳しい自己理解と常に自己研鑽を怠らない姿勢が、決定的にその質を左右することでしょう。
 またキャリアコンサルティングを含む様々なキャリア支援の手段を非対面型(EX.オンライン)で提供できる技術スキルや、他領域の専門家(社会保険労務士、産業医、社会保険福祉士、介護士、企業人事・・・・)と連携、協力して支援を行うネットワーク形成力とコーディネート力は必須のスキルとなるでしょう。そうした土台の上に立って、必要な時に適切な助言、アドバイスができる知識を更新し続け、どんなクライアントのどのような相談にも安定して支援ができるキャリアコンサルタントのことを、私たちは「プロのキャリアコンサルタント」と呼んでいます。
 これから先の日本では、数多くのキャリアコンサルタントが誕生し、さまざまな場所、領域での活躍が期待されることになります。しかし資格者の普及拡大が進むにつれ、その質を問う声が社会的に高まり、真にプロフェッショナルな専門家へのニーズが増していくことでしょう。私たちCCAでは、協会設立の当初から「プロのキャリアカウンセラー」を育成し、世に送り出すことを活動目的の一つに掲げ、歴史を刻んでまいりました。国家資格を取得したキャリアコンサルタントが、その資質を向上させる目標としての公的資格には、既に技能検定試験合格による1級、2級のキャリアコンサルティング技能士という制度が存在していますが、そのレベルをも超えてより高い資質を獲得し、磨き続けていくキャリアコンサルタントを、私たちCCAは応援し続けます。

<参考>世界では

イギリス

イギリスではキャリアサポート職としていくつかの細分化がされており、主なものは

  • 学校で出席率が低かったり、能力が活かしきれない、学校になじめない生徒の支援としてラーニングメンター
  • 学校・カレッジ・大学、成人向けのガイダンス機関などで予約制によるクライアントの面会・アドバイスを行なうキャリアアドバイザー
  • 13歳から19歳を対象にキャリア・能力開発、対人関係、金銭、麻薬等のガイダンスを実施するパーソナルアドバイザー
  • 学校・カレッジ・病院、情報ガイダンス機関や独立開業でカウンセリングを実施するカウンセラー

などがそれぞれ、一定のプログラムの学習や経験を積んだ上で活躍しております。
※厚生労働省「キャリアコンサルティング研究会」平成21年3月発表に基づき作成


アメリカ

アメリカにおいてカウンセリングは治療・診断に関して保険適用を受けることが可能であり、その適用を受けてカウンセリングを実施できるカウンセラーになるためには、各大学教育機関でカウンセリングの修士レベル取得や実務経験・試験による、各州の法令にもとづいた免許制度(州立カウンセラー免許Licensed Professional Counselor)に合格なければなりません。
また、保険適用外でもキャリアサポートの必要のある人材(ワンストップセンターの職員他)は専門家の傍らで人々のキャリアに関わる目標達成を支援のファシリテーション、ガイダンスを行うためにキャリアディベロップメントファシリテーターCDFとして指定カリキュラムの受講やそれまでの経験などを加味した上での資格取得ができ、キャリアに関わる目標達成をするため、ファシリテーション、ガイダンスなどを実施し活躍しております。

※厚生労働省「キャリアコンサルティング研究会」平成21年3月発表に基づき作成


他国においても

CCAの推奨している「GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラムは米国でスタートし、現在米国・日本だけでなく、中国・ドイツ・カナダ・ブルガリア・ルーマニア・ニュージーランド・トルコ・韓国等でも各国の事情に合わせて運営されており、各国それぞれキャリアに対するサポートの必要性とともに導入がすすんでいます。

各国キャリアサポート

CDFのグローバルバージョン

米国、日本、中国、ドイツ、カナダ、ブルガリア、ルーマニア、ニュージーランド、トルコ、韓国他