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オフィス街に立つ笑顔の女性

人生100年時代、将来のキャリア形成について真剣に考えなければと思っている方も少なくないことでしょう。中には、将来を見据えて新たな学びを始めようと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もし、雇用保険の教育訓練給付制度を使って費用の支給を受けて学ぶなら、講座や資格によっては「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける必要があります。

今回は、訓練前キャリアコンサルティングとは何か?受ける対象や目的、受け方、訓練前キャリアコンサルティングとキャリアコンサルティングとの違いなどについて、専門実践教育訓練を受ける場合をメインにご説明します。また、訓練前キャリアコンサルティングを実施する、訓練対応キャリアコンサルタントの目指し方についても触れます。

この記事を読むと、訓練前キャリアコンサルティングについてイメージがわき、事前にどのような準備をすべきか、わかるようになっているでしょう。

「キャリアコンサルティング」とは?

「訓練前キャリアコンサルティング」についてくわしく触れる前に、まずは「キャリアコンサルティング」についてご説明します。

厚生労働省のサイトでは、以下のように定義されています。

「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。

出典:厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント

キャリアコンサルティングは、人材サービス機関や再就職支援サービスなどの民間機関、ハローワークなどの公的就労支援機関、大学などの学校で行われています。具体的な相談内容は、転職や仕事内容、自分に向いている仕事の整理、就職活動など、個人によってさまざまです。

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キャリアコンサルティングとは?内容やメリットについて解説

「訓練前キャリアコンサルティング」とは?

ファイルを開いてカウンセリングする女性

キャリアコンサルティングは、はたらく人の職業に関連するさまざまな相談を受けるものであるとわかった一方で、「訓練前キャリアコンサルティング」とはどのようなものでしょうか?

職業訓練や専門実践教育訓練給付などを希望する人の受講は必須

以下の給付や訓練を希望する人は、訓練前キャリアコンサルティングを必ず受ける必要があります*。

  • 専門実践教育訓練給付
    特に労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象。資格や講座の費用の最大70%(最大224万円)の支援を受けられる。

  • 特定一般教育訓練給付
    特に労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象。資格や講座の費用の最大40%(上限年間20万円)の支援を受けられる。

  • 日本版デュアルシステム(公共職業訓練)

  • 長期高度人材育成コース(公共職業訓練)

  • 雇用型訓練求人への応募

*職業訓練は、適職に就くために必要と認められ、かつ職業訓練を受けるために必要な能力を有すると公共職業安定所長が判断した方に対して受講を斡旋されています。

出典:
ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度

厚生労働省「日本版デュアルシステム 事業の概要
千葉労働局・ハローワーク「令和4年度版 訓練前キャリアコンサルティングのご案内


訓練前キャリアコンサルティングは、どなたでも受けられます。
どの訓練を受けようか迷っている人、職業訓練に興味を持っている人、今後のキャリアについて悩んでいる人でも相談できます。

専門実践教育訓練の対象となる講座

専門実践教育訓練の対象となる講座は、下記のとおりです。

  1. 業務独占資格・名称独占資格の取得を訓練目標とする養成施設の課程
    対象となる資格の例:看護師、介護福祉士、美容師、調理師、保育士、歯科衛生士、はり師、社会福祉士、準看護師、柔道整復士、栄養士、精神保健福祉士、助産師、理容師、キャリアコンサルタントなど

  2. 専門学校の職業実践専門課程及びキャリア形成促進プログラム
    商業実務、文化、工業、衛生、動物、情報、デザイン、自動車整備、土木・建築、スポーツ、旅行、服飾・家政、医療、経理・簿記、電気・電子、ビジネス、社会福祉、農業など

  3. 専門職大学院
    ビジネス・MOT、教職大学院、法科大学院など

  4. 職業実践力育成プログラム
    保健、社会科学、工学・工業など

  5. 一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程
    シスコ技術者認定などでITSSレベル3以上の資格

  6. 第四次産業革命スキル習得講座
    新技術・システム(クラウド、IoT、AI、データサイエンス)、高度技術(ネットワーク、セキュリティ)など

  7. 専門職大学・専門職短期大学・専門職学科の課程

出典:
厚生労働省「専門実践教育訓練の給付金のご案内
厚生労働省「国から支援を受けられる主な資格・講座リスト

筆者がハローワークに確認してみたこと

訓練前キャリアコンサルティングに関する気になる点について、筆者の居住する地域のハローワークと訓練前キャリアコンサルティングの委託機関それぞれに問い合わせてみました。
※2023年4月時点の情報です。

Q1.受講する訓練が決まっていない場合でも、訓練前キャリアコンサルティングは受けられますか?

ハローワークの回答:
訓練前キャリアコンサルティングは、教育訓練の講座の指定番号をもって予約してください。(教育訓練の受講ありきのキャリアコンサルティングを実施している様子で、訓練が決まっていない場合でも受けられるかどうかについては、はっきりした回答がありませんでした)

委託機関の回答:
受けられます。

Q2.自分に合ったキャリアコンサルタントを選ぶことはできますか?

ハローワークの回答:
(回答しているハローワークは)訓練前キャリアコンサルティングの運営を外部に委託しています。委託先に所属するキャリアコンサルタントのどなたかに相談することになります。

委託機関の回答:
キャリアコンサルタントを指定するというよりは、平日の中の指定日時を予約して、当日ハローワークで受けていただきます。
(いずれも、担当者を選べるかどうかについてはっきりした回答がありませんでした)

※具体的な実施方法は、ハローワークによって異なる可能性があります。訓練前キャリアコンサルティングについて気になる点がありましたら、お住まいを管轄するハローワークに問い合わせることをおすすめします。

訓練前キャリアコンサルティングを受ける目的は?

専門実践教育訓練給付または特定一般教育訓練給付を受けるために、なぜ訓練前キャリアコンサルティングの受講が必要なのでしょうか?

訓練前キャリアコンサルティングの目的は、教育訓練などを経て、転職をしたり、新たなスキルを身につけたいと考えている人が、これまでの職務経歴や職業能力等を整理しながら自己理解を促進することです。
加えて、これから受けようとしている職業訓練の科目は自分の今後のキャリアに合っているか?今後の就職活動に役立てられるものなのか?を確認することも目的のひとつです。

ハローワークの視点から見れば、相談者が受講を希望する教育訓練が、本人の職歴やキャリアプランからみて、給付するに値するものなのかどうかを確認する機会でもあります。

ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングである

キャリア・プランシート(就業経験がある方用)(在職者・30代)_記入例10

出典:マイジョブ・カード「様式1-1 キャリア・プランシート(就業経験がある方用)(在職者・30代)_記入例 No10.pdf

訓練前キャリアコンサルティングを受けるためには、ジョブ・カードが必要になります。

ジョブ・カードとは、自己理解、仕事理解、職業経験の棚卸し、キャリア・プランの作成等を行うことにより、自身の能力や将来への希望などを整理、明らかにしていくツールです。

訓練前キャリアコンサルティングは、ジョブ・カードの書式のうち、キャリア・プランシート、職務経歴シート、職業能力証明シート(免許・資格)、職業能力証明シート(学習歴・訓練歴)の書式を使います。事前に記入の上、訓練前キャリアコンサルティング当日にプリントアウトしたものまたは手書きのものを持参しましょう。

面談は、ジョブ・カードに書かれた内容に沿って行われます。もし、自分のキャリアの方向性や整理ができずに、ジョブ・カードの記入が難しい場合は、当日に支援を受けながら記入することもできます。

当日の面談終了時、訓練対応キャリアコンサルタントがジョブ・カードに実施内容を記入してはじめて、ジョブ・カードが完成します。完成したジョブ・カードは、教育訓練給付金などを申請する際の紙の正式書類として使います。

【関連記事】
ジョブ・カードとは?制度や活用メリット、作り方について解説

キャリアコンサルタント資格を持つ「訓練対応キャリアコンサルタント」が実施する

訓練前キャリアコンサルティングを実施するのは、キャリアコンサルタント国家資格を持っていることに加えて、訓練対応研修を受講修了したキャリアコンサルタントです。職業訓練や職業・資格等、訓練前キャリアコンサルティングに必要な知識を学んだ上で、従事しています。

出典:令和4年度 中長期的なキャリア形成を支援するためのキャリアコンサルタント向け研修 受講システム|学校法人大原学園|厚生労働省委託事業

キャリアコンサルタント養成講習GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム

実施される場所と時間

訓練前キャリアコンサルティングは、各ハローワークで行われます。
実施時間は、原則1回概ね60分目安です。もし1回のキャリアコンサルティングで終わらない場合、別の日に2回目が行われることもあります。

筆者が問い合わせた委託機関の回答によると、訓練前キャリアコンサルティングの実施頻度はハローワークによって異なり、週1回のところもあれば、週5回実施しているところもあるようです(実施頻度は労働局から決められているそうです)。

訓練前キャリアコンサルティングはどちらのハローワークで受けてもよいものの、専門実践教育訓練給付の手続きと同時に、お住まいを管轄するハローワークで受ける方が多いそうです。

※遅い時間帯の訓練前キャリアコンサルティングを予約した場合、面談が終わったときにはハローワークの閉庁時間を迎えてしまうことがあるそうです。当日中に専門実践訓練給付申請の手続きが済ませられず、翌日以降にもう一度ハローワークに出向くことになります。専門実践教育訓練給付を受けるための手続きを一度で済ませたい場合はあらかじめ注意してほしいとのことでした。

教育訓練がはじまる1ヶ月前までに手続きが必要

専門実践教育訓練などの教育訓練給付金の受給を希望する場合は、原則、訓練開始日の1ヶ月前までに訓練前キャリアコンサルティングを受ける必要があります。

くわしい手続き方法などは厚生労働省のWebサイトで確認できます。

厚生労働省「教育訓練給付制度

キャリアコンサルティングと訓練前キャリアコンサルティングの違いは?

通常のキャリアコンサルティングと訓練前キャリアコンサルティングでは、何が異なるのでしょうか?

項目キャリアコンサルティング訓練前キャリアコンサルティング
対象になる人 求職者、在職者、学生など 下記の教育訓練または職業訓練を希望する場合は必須
  • 専門実践教育訓練給付
  • 特定一般教育訓練給付
  • 日本版デュアルシステム(公共職業訓練)
  • 長期高度人材育成コース(公共職業訓練)
  • 雇用型訓練求人への応募

受けること自体は誰でも可能。

受ける目的 個々の抱えるキャリアに関する問題の解決 ジョブ・カードを活用して、希望する教育訓練や職業訓練が、本人のキャリア形成に資するものかを考える
受けられる場所 民間機関、企業、公的機関、学校など ハローワーク
所要時間 45分から60分が一般的 概ね60分
(1回のキャリアコンサルティングで終わらない場合、別の日に2回目を行うこともある)
相談内容 転職、仕事内容、自分の職業の向き不向き、賃金や処遇、モチベーションアップ、人間関係、転職、就職活動、進学・留学ほか 職務経歴の棚卸や自己理解の促進、キャリア形成の方向付け
費用 無料・有料 無料
持参するもの 相談場所や内容による 記入したジョブ・カード
その他
  • 終了後に、必ず職業訓練の受講申込みをしなければならないものではない。
  • 雇用保険の失業認定における求職活動実績にカウントできる

出典:東京労働局・ハローワーク「専門実践教育訓練等の受講を希望する方へ 訓練前キャリアコンサルティングのご案内
千葉労働局・ハローワーク「訓練前キャリアコンサルティングのご案内

訓練前キャリアコンサルティングの体験談

専門実践教育訓練給付のための訓練前キャリアコンサルティングを受けたことのある方に、お話を伺いました。

40代女性(関東在住)

従事している仕事の専門性を高め、さらに活躍したいと考え、教育訓練を使って国家資格の取得を目指すことにしました。

まずは、ハローワークで専門実践教育訓練給付金の申請手続きをします。職員の方から「訓練前キャリアコンサルティング」のチラシを受け取り、その場で電話予約しました。

ジョブ・カードの記入は、質問の内容や記入の仕方に不慣れなこともあって、少し戸惑うこともありました。ただ、これまでの職歴や学習歴を振り返る貴重な機会となり、自分自身について新たな気づきも生まれた気がします。

当日は、記入したジョブ・カードを持って、キャリアコンサルティングを受けました。キャリアコンサルタントはどんな方なのか心配でしたが、話しやすい雰囲気の方で安心しました。キャリアコンサルタントと一緒に自分の職歴や学習歴について話したことで、これからの勉強(教育訓練)は今の職業の延長上にあるものだと再認識できました。
最後に、キャリアコンサルタントの方にはジョブ・カードに必要事項を記入いただき終了しました。

※個人の感想です。専門実践教育訓練給付の申請には訓練前キャリアコンサルティングとは別に手続きが必要です。

専門実践教育訓練給付金を使ってキャリアコンサルタントを目指せる

勉強する女性

ここまでは「訓練前キャリアコンサルティング」について説明してきましたが、キャリアコンサルタントはご紹介した教育訓練給付を使って目指すことができる資格のひとつです。

キャリアコンサルタント養成講習は専門実践教育訓練訓練給付対象

国家資格キャリアコンサルタントは、教育訓練給付を使って目指すことができる資格のひとつです。

キャリアコンサルタント養成講習が「専門実践教育訓練給付金」の対象で、対象の方が受講を修了すると50%、最大で70%の支給を受けられます。

もし、専門実践教育訓練給付金を使って、キャリアコンサルタント養成講習を受講したい場合は、講習開始日の1ヶ月前までにご自身でハローワークでお手続きを完了しましょう。

【関連ページ】
専門実践教育訓練給付金の利用について


キャリアコンサルタント養成講習受講相談会

キャリアコンサルタント養成講習の中でジョブ・カード講習も実施

キャリアコンサルタント養成講習「GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム」では、ジョブ・カード講習テキストとジョブ・カードの講義動画(約2時間)を使って、ジョブ・カードについて学習します。ホームワークでは、自分自身のジョブ・カードを書く体験をして基本を学びます。

ジョブ・カードの講義動画では、ジョブ・カード制度の概要、ジョブ・カードを活用した支援、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングの実際の進め方を動画で学習できます。在職者、求職者、訓練受講者といった対象者別に、ジョブ・カードを用いて実際にキャリアコンサルティングを行う様子を見て学べます。

【関連ページ】
講座カリキュラムと料金

キャリアコンサルタント資格取得後、訓練対応キャリアコンサルタントもめざせる

キャリアコンサルタントの資格取得後に、別途訓練対応研修を受講修了すると、ハローワークで訓練対応キャリアコンサルティングに従事できるようになります。

労働局が訓練前キャリアコンサルティングの運営を委託している場合は、委託先から求人が出されます。
勤務頻度は週1回から週5回、1日最大で5回の面談を実施するという条件で、ジョブ・カードの作成支援やその付帯業務に従事するといった内容が一般的なようです。

出典:令和4年度 中長期的なキャリア形成を支援するためのキャリアコンサルタント向け研修 受講システム|学校法人大原学園|厚生労働省委託事業

訓練前キャリアコンサルティングについてのまとめ

最後に、訓練前キャリアコンサルティングについてまとめました。

  1. 教育訓練を受講する前のタイミングで実施される
  2. ジョブ・カードを使ったキャリアコンサルティングである
  3. 自己理解とキャリア・プランの確認が大きな目的
  4. 訓練対応キャリアコンサルタントが従事している
  5. ハローワークで約60分程度で実施