キャリアカウンセリング協会は、キャリアコンサルタント/キャリアカウンセラーの資格・研修・教育・試験・更新講習・継続学習・相談・支援・指導者養成などの運営団体です。

CCAについて

CCAの理念

今、日本の働く人々を取り巻く環境はかつてない変化の中にあります。かつて日本の高度成長を支えた終身雇用制や年功序列は崩壊し、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトなど非正規雇用者の比率が高まり続けています。また労働人口減少社会の到来に伴い、国家政策の最重要課題の一つとして生産性向上が位置付けられました。政府主導の働き方改革議論が進む一方で、個々人の仕事に対する意識や価値観は大きく変化し、多様化しています。

こうして、かつて働く人の多数が辿った典型的なキャリアルートがなくなって働き方が多様化し、働く人の価値観もまた多様化しているという二重の多様化が進んだ結果、働く人はそれぞれの人生のステージで働き方を真剣に考え、より自分らしい生き方と働き方を選択する必要に迫られつつあります。こうした大きな社会的変化を背景に、働く人々が安心して自分のキャリアを相談できる機会を整備するため、国は2016年にキャリアコンサルタントを国家資格化しました。

私たちCCAは、2003年の設立以来一貫して、働く人一人一人がそれぞれの人生のステージで、より自分らしい生き方と働き方を選択し、その能力を発揮できる社会の実現に寄与することを理念に掲げてまいりました。そして理念実現に向けて、キャリアカウンセリングを広く普及するとともに、質の高いキャリアカウンセラー/キャリアコンサルタントを育成し、一人一人の質を継続的に高め続けることを最重要テーマとして、活動を継続してきました。

キャリアコンサルタントが国家資格化されたとはいえ、キャリアカウンセリングの歴史は浅く、社会的な認知度もまだ十分とはいえません。したがって、この理念を達成するには、多方面のアプローチが求められます。社会に対しては、キャリアカウンセリングの重要性を啓発していくこと。キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタントに向けては、技術の向上、地位の向上、職業としての成立を促す支援。そして、大きく変化する時代にあっても拠り所となるキャリアカウンセリングの理念・倫理の確立など。私たちCCAは、時には真正面から時には側面から、柔軟かつ効果的にキャリアカウンセラーを支援していける組織を目指していきたいと考えています。

※仕事やキャリアの支援を担う人々を総称して、CCAではキャリアカウンセラーと呼びます。キャリアカウンセラーとキャリアコンサルタントは同義です。


1.CCAが目指すキャリアカウンセリング
~働く人の職業生活全体を支えるキャリアカウンセリング~

CCAでは、働く人々の職業生活全体を通じて、その節目の問題解決や意思決定を支援していけるキャリアカウンセリングの普及を目指しています。一般に、キャリアカウンセリングというと、就職や転職の時を考える人が多いようです。しかし、自分の仕事について考えるのは、就職・転職の時だけでしょうか。例えば、昇進・昇格や異動の時など、組織の中にいても変化や節目はあります。変化へ対応していく時には、いろいろな悩みや問題に直面することも少なくないでしょう。そのような節目の時に、キャリアカウンセリングは、きちんと自分自身を整理する、自分が納得できる選択をする、自分の行動をかえていくなど、悩みや課題に前向きに対応していく上での力強い味方、支援となり得ます。それは、仕事の上でのモラールアップや能力の開発、成果の向上につながり、また、人間的な成長をもたらしてくれるでしょう。その意味で、私たちは、社会の中で自分らしく働きたいと思うすべての人に、いつでもキャリアカウンセリングを活用していただきたいと考えています。


2.キャリアカウンセラーの育成方針
~実践力の高いキャリアカウンセラーを育成~

CCAが、キャリアカウンセラー育成の方針として重視していることの一つは、実践力の高さということです。実践力が高いとは、キャリアカウンセラーが、クライアントのニーズに応じた価値を提供でき、クライアントの満足を得られるということ。そのために必要な能力は色々ありますが、ここでは大きく三つのことをあげたいと思います。

一つは、キャリアカウンセリングのプロセス全体を提供できる能力です。信頼関係づくりだけ、アセスメントだけと、キャリアカウンセリングの一部が実施できるだけでは十分ではありません。当然のことながら、クライアントの問題解決や意思決定を支援していくという最終的な目標に向けてキャリアカウンセリングプロセス全体をきちんと提供できなければなりません。このプロセス全体を高いレベルで提供することは決して簡単なことではなく、継続的な技能向上の努力が求められます。二つ目は、多様なクライアントに対応できる幅の広さです。さまざまなニーズを持っているクライアントに、それぞれ合ったサービスを提供していくことは、特定の専門分野に熟知しているだけでは難しいでしょう。実践力という点では、様々なケースに一定以上の水準で対応できる幅の広さが重要になります。三つ目は、常に自分を振り返り、課題を自覚して研鑽に励む姿勢です。刻々と変化する労働市場、労働法制などの知識を最新のものに更新し続けることはもちろんのこと、多様化・高度化するクライアントの期待と信頼に応えられるだけの技能を磨き続けるためには、キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタントとしての自分の現状を正しく認識することが前提になります。

CCAでは、この実践力を高めてもらうという視点から、仕事に活かせる講習・トレーニングや現場での実践機会を提供し、キャリアカウンセラーを育成していきたいと考えています。※1

講習・トレーニングによる能力開発、経験の幅を広げる実践の経験、実践経験の振り返り、この三つの循環を継続していくことが、実践力を高める重要なステップになります。また、これからキャリアカウンセラーを目指す方については、まず基本的な知識・技能として資格を取得することがベースになるでしょう。

※1 当協会は実践力の高いキャリアカウンセラー育成に必要不可欠な質の高い指導者の育成をめざし、筑波大学との共同研究によるスーパーバイザー養成及び認定試験を実施しております。


3.CCAが考える「効果の高い継続的な学び」の条件

私たちは資格者の「効果の高い継続的な学び」を実現するために、以下の4点が重要であると考えます。

① 定期的に実力診断を受けること

自分に本当に必要な講習を選択するためには、まず実力診断によってキャリアコンサルタントとしての成長課題を明確化することが前提になる。

現時点の「実力」を知ることで「今の課題に対応した学習プログラム」の選択が可能

② 「実践⇒実力診断⇒学習⇒実践」の成長サイクルをまわすこと

実践(D)⇒実力診断・課題明確化(C)+効果的な学習メニューの選択(P)⇒講習受講(A)⇒実践(D)のサイクル(持続的成長のためのD-CPADサイクル)をスパイラルに繰り返すことで、持続的な成長サイクルを実現することができる。

「実践⇒実力診断⇒学習⇒実践」の成長サイクルをまわすこと

③ 科学的なスーパービジョンを受けること

スーパービジョンは特定の流派や技法を徒弟的に学ぶものではなく、教育プログラムとして科学的で標準化された技術の元にシステマティックに実施されるものを受講する必要がある。またスーパービジョンは事例指導(クライアントの見立てと支援の指導)にとどまらず、スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)自身の課題に焦点を当てた教育的指導でなくてはならない。

科学的なスーパービジョンを受けること

④ 3つの学習レイヤーを視界に入れること

継続的な学びに不可欠な学習レイヤーは、「専門領域ごとに必要となる知識・技能・技法」「キャリアコンサルティングの土台であるキャリアカウンセリング基礎技術の練磨」「基礎コンピテンシーとしての『見立て力』と『セルフモニタリング力』の向上」の3つである。

3つの学習レイヤーを視界に入れること
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4.CCAの学び体系図

以上を踏まえたCCAの学び体系を示したのが下図です。

CCAの学び体系図
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