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社会環境の急速な大きな変化は、私たちの働き方や生活に多大な物理的な影響を及ぼし、「私はどのように働きたいのか」「ほんとうはどのように生活したいのか」と自分自身への問いを大きくします。

キャリアカウンセリングは、働く人、働こうとする人、一人ひとりが自らのキャリアについて主体的に考え、自らのキャリアに責任を持ち、自らキャリア形成に取り組んでいけるようになることを援助する専門的な活動です。
歴史的には、イギリスからまたたく間に世界に広がった産業革命の波によって多くの労働者が失業したことを契機にはじまって以来、これまで社会の変革期に仕事そのものや働き方が変化するたびに発展してきました。

本記事を読むと、キャリアカウンセリングとはどういうものか、キャリアカウンセリングを受けることを検討すべきか、理解を深めることができるでしょう。
もしくは、相談される側であるキャリアカウンセラーをめざすべきかについても、理解を深められるでしょう。

キャリアカウンセリングとは?意味や起源を解説

ここからは、キャリアカウンセリングについて詳しく説明します。

キャリアカウンセリングとは?

カウンセリング

筆者が基礎を学んだ「GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム」によれば、キャリアカウンセリングとは「人が職業生活を送っていく上で関連するあらゆる問題を対象とするカウンセリング」です。

キャリアカウンセリングで扱う問題は、職業だけにとどまりません。「働くこと」にまつわる自由時間、余暇、学習、家族との活動などを含んだ個人の生涯にわたる生き方(ライフスタイル)の過程すべてが含まれます。

出典:『GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック1』株式会社リクルートマネジメントソリューションズ、2020年、p.27より引用

キャリアカウンセリングは、アメリカで発達し、日本に輸入された概念・活動です。
国内企業の間でキャリアカウンセリングが急速に広まったのは1980年代後半、バブル経済の崩壊以降です。1990年代に入ると、高校や大学などの教育機関や行政の機関にまで広がり、関心が高まり今日に至ります。
出典:渡辺三枝子・E.L.Herr『キャリアカウンセリング入門 人と仕事の橋渡し』ナカニシヤ出版、2001年

「職業カウンセリング」が「キャリアカウンセリング」と呼ばれるようになった理由

『カウンセリング辞典』によると、「キャリアカウンセリング」と従来「職業カウンセリング」と言われてきたカウンセリングに、大きな違いはありません。
「職業」というと就職に関連した相談、とくに就職先の選定や斡旋を主な内容とするものと誤解されやすいため、原語の「キャリア」を使うようになったようです。
出典:國分康孝『カウンセリング辞典』誠信書房、2007年4月 第23刷

アメリカにおいても、1960年代末までは「キャリアカウンセリング」という言葉はほとんど使われないか、あるいは職業指導、職業カウンセリングと同義語として使われていました。1960年代末以降に、職業指導についての再定義がなされたことや「カウンセリング心理学」の確立などによって「職業」から「キャリア」への転換が進んだとされています。
出典:木村周 ・下村英雄「6訂版 キャリアコンサルティング理論と実際―専門家としてのアイデンティティを求めて―」雇用問題研究会、2022年、p.62

参考書籍
・『GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック1』株式会社リクルートマネジメントソリューションズ、2020年
・木村周 ・下村英雄『6訂版 キャリアコンサルティング理論と実際―専門家としてのアイデンティティを求めて―』雇用問題研究会、2022年、p.62
・渡辺三枝子編『キャリアカウンセリング再考―実践に役立つQ&A』ナカニシヤ出版、2013年
・國分康孝『カウンセリング辞典』誠信書房、2007年 第23刷

日本における「キャリアコンサルティング」という名称の由来

日本においては、キャリアカウンセリングを「キャリアコンサルティング」と呼称し、キャリアカウンセラーは「キャリアコンサルタント」という名称独占の国家資格と位置付けられています。

厚生労働省はキャリアコンサルティングを次のように定義しています。

労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。

出典:厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント

従来、日本の公的文書においてもキャリアカウンセラーという名称が使われていましたが、2001年に国策としてキャリアカウンセラーを大幅に増員することが決定された際、現在のキャリアコンサルタントという呼称に変更されました。この背景には「カウンセリング」という用語が、一般には臨床場面での治療行為(例えば心理療法)を想起させる面が強いという懸念があったとされています。それ以来、職業キャリアの方向づけに係る相談・指導・助言を表す用語として「キャリアコンサルティング」という和製英語が労働行政の中で使われているのです。

キャリアコンサルティングの土台となるのは、専門的技能であるカウンセリングの「理論、技法、倫理」です。キャリアコンサルタントになるための養成プログラム(厚生労働大臣認定)には、この土台をしっかりと習得するための実技訓練が必須とされています。

その意味で、日本のキャリアコンサルティングの歴史とともに歩み導いてきた木村周氏、労働政策研究・研修機構 副統括研究員 下村英雄氏は、キャリアコンサルティングは「働く人に対するキャリアカウンセリングそのものである」としています。

出典:木村周 ・下村英雄『6訂版 キャリアコンサルティング理論と実際―専門家としてのアイデンティティを求めて―』雇用問題研究会、2022年

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キャリアカウンセリングの起源は20世紀初頭の「職業指導運動」

キャリアカウンセリングの起源は、20世紀初頭に職業選択の自由を背景に展開されたパーソンズ(Parsons,F)の「職業指導運動」であるとされています。

職業指導運動は、産業革命後の移民があふれかえるアメリカで起きました。
当時の労働者は、工場での長時間労働や過密で劣悪な住宅環境におかれ、特に移民たちはスラム街で貧しい生活を続けていました。そのような移民たちの支援を目的に1901年にボストン市民サービス館が創設されます。

パーソンズは、ボストン市民サービス館で熱心に支援するうちに、定職につくまで何度も転職を繰り返す青少年に対して、場当たり的な職探しでなく、職業相談の必要性を痛感します。1908年には、ボストン職業相談所を開所。パーソンズはここで初めて一人ひとりに職業ガイダンスを始めたのです。

「もし人々が職業活動の過程で偶然のチャンスに任せるより、職業を選択することにより積極的に従事するなら、自分たちのキャリアに満足し、雇用者のコストは削減され、その後の被雇用者の能率は増加するだろう」というパーソンズの信念は、現在に至るキャリア理論に大きな影響を与えました。

1909年に出版された著書『職業の選択』の中で、パーソンズは職業カウンセリングについての独自の概念とプロセスを述べています。「人と職業の適合」という基本原理をもとにした科学的な職業選択アプローチ、カウンセリングの3段階プロセスは、現在数多くあるカウンセリング理論、技法の源流の一つになっています。

参考:職業研究 2012 夏季号(雇用問題研究会)

パーソンズに始まった職業指導運動は、経済不況や、第二次世界大戦の終結など様々な問題や社会情勢により変化を遂げました。医学面、心理面、社会面、教育面、就職あっせんなどの雇用面でのニーズに対応する広範な基盤に立つ総合的なカウンセリングへと移行します。

1951年に、アメリカ心理学会で「カウンセリング心理学」という分野が正式に承認されると、パーソンズらの社会改革運動から出発したカウンセラーという職業が、主として心理学を背景とし、専門職として必要な教育体系を整備しながら、独立した専門分野としての基盤を構築し始めます。
アメリカにおけるキャリアカウンセリングは、その後次々と誕生する結婚カウンセリング、家族カウンセリング、災害カウンセリング、健康カウンセリングと同様、カウンセリングの中核的位置づけをなしています。

キャリアカウンセリングは、カウンセリング心理学によって「個人の特性と職業の必要要件とのマッチング」から「個人の意思決定過程の一行為」の心理的援助過程へと発展しました。その焦点は「どれを選ぶか」から「選択をする個人」に移行し、選択行動に関する心理学的研究が促進されていったのです。
出典:渡辺三枝子・E.L.Herr『キャリアカウンセリング入門 人と仕事の橋渡し』ナカニシヤ出版、2001年

キャリアカウンセリングが注目される背景とは?

1つには、社会経済環境の急激な変化が挙げられます。
少子高齢化、グローバル化、テクノロジーの進化、社会経済環境の様々な急激な変化により、産業構造も大きく変わりゆき、働く個人が主体的に自分のキャリアをデザインしていく必要が出てきたからです。

2016年に出版されたリンダ・グラットン『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) - 100年時代の人生戦略 』では「教育→仕事→引退」というこれまでの3ステージモデルの人生から「マルチステージ」の人生へ再設計が提唱され、話題にもなりました。

2つ目には、企業の人事課題の変化の中で、キャリアカウンセリングがキャリア自律を支援する方策のひとつとしても脚光を浴びてきていることです。
終身雇用制度などの日本的雇用慣行が崩壊し、人材の流動性が高まる中、従業員のキャリアデザインとキャリア自律を企業が推進しています。企業からみると、職業能力の開発促進や、離職防止のための従業員のモチベーションやエンゲージメントを強化するメリットもあります。

最近では、「人的資本経営」を推進するために、キャリア支援の指標が不可欠であるとの提言もあります。
人材を「資本」と捉え投資の対象とし、企業価値を高めていく経営手法は、企業に対して人的資本の情報開示を要請しています。
企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組みのことを「セルフ・キャリアドック」と呼びます。慶應義塾大学花田光世名誉教授は、企業が行うセルフ・キャリアドックの推進・展開といったキャリア支援のトータルな活動は、人的資本経営の「指標」作りに不可欠であるという考えを提言されています。

参考:キャリアカウンセリング協会 花田光世先生「キャリアアドバイザーの役割パートXIX:人的資本経営とセルフ・キャリアドックの融合」(2023年2月)

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キャリアカウンセリングに期待される効果とは?

キャリアカウンセリングを受けると、どのような効果が期待されるのでしょうか?
ここではキャリアカウンセリングを受ける効果について、「援助のプロセス」に沿って説明します。

相談を通じて精神的に安心できる

相談する人の中には、初対面の人には人見知りをしたり、自分が感じている気持ちや感情をそのまま表現することに抵抗や苦手意識があったりする人もいると思います。キャリアカウンセラーは「クライアント(相談者)が安心して主体的に話せる場」を提供します。

キャリアに関する正解は他人が決めることはできません。
たとえ相談したいことが明確でなかったとしても、キャリアカウンセラーとの対話を通じて、困りごとや悩みの背景にあることや、葛藤、解決すべき問題を自分の言葉で話してみましょう。
結果、自分自身をありのままに受容することにつながります。

自分自身についての理解を深められる

満足できる働き方やキャリアについて考えるためのベースは、自分が置かれている状況・環境を理解し、キャリアについて意思決定をする際の自分自身の基準・価値観・能力をどう捉えている自分なのかをわかることです。

相談者は、キャリアカウンセラーと、おたがいの表現が意味することを理解して、相手に共有する。そうした対話のプロセスを通じて、自分について理解を深めることができます。

キャリアプランや目標を立てられる

相談者自身が、自発的にキャリアプランや目標を立てていきます。
キャリアカウンセラーからは、必要な情報提供をされたり、ヒントを投げかけるための質問や提案をされたりします。また、目標を達成するためには、目標を定める前に目標自体を評価することも大切です。現実的か、行動できないまま計画倒れにならないか、自分の目標をキャリアカウンセラーと吟味できます。

目標達成のための具体的な行動を決められる

目標が明確でも、相談者自身、すぐに行動に移せるイメージができないと、日々の忙しさに翻弄されて「目標ははっきりしたが何も変わらない」ということになりかねません。
キャリアカウンセラーの援助を受けながら、5W1Hの視点で目標達成のための方策を考え、評価し、選択します。

自ら決めた目標を自ら行動に移せるようになる

目標も決まった、方策も見えてきた、それでも自分自身が実際に行動に移せなければ「問題解決」には向かえません。自分自身が実行してこその目標達成です。
相談を通じて、意思決定の障害になっていることや、意思決定の基準、意思決定のプロセスについてキャリアカウンセラーに話し、行動に向けてバックアップしてもらいます。

AIにキャリアカウンセリングはできるのか?

最近、AIとの対話ソフト「チャットGPT」が大きな話題になっています。
この記事を読まれているみなさんは、自分のキャリア、仕事人生についての相談をAIにしたいですか?

宮坂道夫『対話と承認のケア ナラティヴが生み出す世界』(医学書院、2021年3月)の一節に、ある仮説による考察が述べられています。

仮説とは、ディープラーニングの進化によってとても態度がよいロボットが、丁寧に自分の話を耳を傾けてくれるときに「話を聞いてもらえてよかった」と思えるかどうかは、そのロボットが人間の言葉遣いや表情などの細部を完璧に模倣できているかどうかよりも、それに寿命があるかどうかに左右されるのではないか?ということです。

「半永久的にメンテナンスで動作できる場合」と「修理もできず廃棄されることがわかっている場合」とでは、人間は、いずれ壊れてしまうロボットのほうに親近感を感じ、自分の話を聴いてほしいのではないか、と述べられています。

いくら良好な態度で話を聴いてもらえたとしても、自分と同じように生きていずれ死ぬ存在であると思えないのであれば、いくら丁寧に聴いてもらえても、どこか空しいと感じられるかもしれない、筆者自身も同じ思いです。


2015年12月の株式会社野村総合研究所のニュースリリース「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」という見出しのインパクトは記憶に新しいです。
その研究成果では、人工知能やロボット等による代替可能性が低い 100 種の職業の中に「カウンセラー・コンサルタント」が入っていました。
抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、人工知能等での代替は難しいとされています。

参考:株式会社野村総合研究所「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に~ 601 種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算 ~

キャリアカウンセリングを実際に受ける

どのような場所で、どのような内容のキャリアカウンセリングが実施されているのかを紹介します。

キャリアカウンセリングでよくある相談例をチェック

キャリアカウンセリングでは、どのようなことが相談されるのでしょうか?

2017年の労働政策研究報告書 No.191「キャリアコンサルティングの実態、効果および潜在的ニーズ―相談経験者1,117名等の調査結果」によれば、最も多い相談内容は「転職」(53.8%)。次いで「仕事内容」(35.3%)、「自分の職業の向き不向き」(24.8%)、「賃金や処遇」(22.0%)、「モチベーション・アップ」(18.3%)と続いています。

4-1_キャリアコンサルティングの相談内容

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」より引用

この調査では、性別・年齢別・配偶者の有無別の相談内容の特徴なども分析されています。関心のある方は、ご覧になってみてください。

キャリアカウンセリングを受けられる場所

無料で受けられるキャリアカウンセリング

国が整備を進めている「キャリア形成サポートセンター」をはじめ、ハローワーク、地域若者サポートステーション、ジョブカフェなどの行政サービス、大学・高校などの教育機関、転職エージェント、NPOなど無料でキャリアカウンセリングを受けられる場所は拡大しています。
昨今は、企業でのセルフ・キャリアドック制度の導入や、キャリア相談室設置の動きなどもあり、所属企業内でキャリアカウンセリングを受けられる場合もあります。

有料で受けられるキャリアカウンセリング

「キャリコンサーチ」は国のキャリアコンサルタント名簿に登録している「キャリアコンサルタント」と「キャリアコンサルタントを探したい企業担当者や個人等」ご利用者とのマッチングを支援するキャリアコンサルタント検索システムです。
居住地や対応可能業務などの条件を設定して、キャリアコンサルタントを検索できます。

国家資格キャリアコンサルタントWebサイト登録センター「キャリコンサーチ キャリアコンサルタント検索システム

最近では民間のキャリア相談サービスやスキルシェアサービスなど、キャリアカウンセリングを扱う企業も増えています。ご自身の相談内容に合うサービスを探してみましょう。

キャリアカウンセリングの前の準備

1回あたりの相談時間は標準で50分程度と限られているので、相談したいテーマや情報収集したい事柄は事前に絞っておくこともよいでしょう。
また、自分自身のキャリアの棚卸しに「ジョブカード」を事前に記載したり、記載した履歴書・職務経歴書・エントリーシートなどがあれば、手元に準備して見なおすことなども有効です。

キャリアカウンセリングを受けた方の感想

キャリアに関する相談の有効性

厚生労働省のサイトには、「キャリアに関する相談の有効性」の調査結果が掲載されています。

■キャリアコンサルティング(キャリアに関する相談)の効果

○自らのキャリアについて相談した労働者の約9割が、相談(キャリアコンサルティング)が役に立ったとしている。

○役立った内容としては、「仕事に対する意識が高まった」とする人の割合が多いほか、正社員では「自分の目指すべきキャリアが明確になった」、「自己啓発を行うきっかけになった」といった内容が、正社員以外では「現在の会社で働き続ける意欲が湧いた」等があげられている。

キャリアに関する相談の有効性

出典:厚生労働省「キャリアコンサルティングの活用・効果

相談したことで問題は解決したか

2017年に独立行政法人 労働政策研究・研修機構が発表した「労働政策研究報告書 No.191 キャリアコンサルティングの実態、効果および潜在的ニーズ ―相談経験者1,117名等の調査結果より」でも、キャリアコンサルティングの効果について分析がなされています。

「相談したことで問題は解決したか」という設問に対しては、「問題は解決した」(66.5%)、「問題は解決しなかった」(33.5%)で、キャリアや職業に関する相談を行った回答者のおおむね 2/3 が何らかの形で問題は解決したと回答しています。

その結果、具体的には「カウンセラーに助けてもらいながら、自分で解決した」(52.2%)、 「自分の努力で解決した」(18.0%)、「その他の人に助けてもらいながら、自分で解決した」 (13.1%)の回答が多くありました。

6-1_問題は解決したか

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.191 キャリアコンサルティングの実態、効果および潜在的ニーズ ―相談経験者1,117名等の調査結果より

相談したことでキャリアや職業生活は変化したか

「相談したことでキャリアや職業生活は変化したか」の設問には「変化した」(65.1%)、「変化しなかった」(34.9%)で、約 2/3 の回答者が何らかの形で相談後に変化があったと回答しました。

さらに追加質問では、具体的にどのように変化したかについて回答を求めました。その結果、具体的には「将来のことがはっきりした」(40.0%)が最も多かった。 以下、「就職できた」(28.1%)、「仕事を変わった、転職した」(27.6%)、「職業能力がアップした」(22.0%)と続きました。

6-2_キャリアや職業生活は変化したか

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.191 キャリアコンサルティングの実態、効果および潜在的ニーズ ―相談経験者1,117名等の調査結果より

相談をしてよかったか・役立ったか

「相談をして良かったですか」の設問については「やや良かった」(43.8%)の回答が最も多く、「とても良かった」とあわせて 67.5%でした。
一方、「相談をして、その後の職業やキャリアに役立ちましたか」についても「やや役立った」(44.6%)の回答が最も多く、「とても役立った」とあわせて 64.9%でした。

6-4_相談して良かったか、役立ったか

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.191 キャリアコンサルティングの実態、効果および潜在的ニーズ ―相談経験者1,117名等の調査結果より

 

ここからは、筆者個人の経験談です。
筆者自身、40歳を目前にして新卒で入社した会社のリストラによる早期退職、再就職についてキャリアカウンセリングを受けました。その時の感想を2つ紹介します。

早期退職についてGCDF-JapanキャリアカウンセラーAさんに相談した時

自分のことをほんとうに親身になって一緒に考えてくれてありがたい。自分だけではこのタイミングでの早期退職を選ぶ意思決定はできない優柔不断な私だと思っていたけれど、自分のことを「自分のことを自分で考えて決めていける人」と信頼して励まして助言してもらえたことで、誰かのせい、会社のせい、不景気のせい、としないで、自分の人生について自分で考えていく覚悟ができた。

再就職について「再就職支援サービス」事業会社のキャリアアドバイザーBさんに相談した時

不景気で求人倍率も低い中、自分ひとりでは探せない求人情報を紹介してくれるのはありがたい。計画的に転職活動を進めていく方法や応募先企業の情報に精通しているのでアドバイス・伴走もありがたい。けれど、どこかやっぱり自分にはしっくりこない。ビジネスサービス範囲での相談だからしかたないのかもしれない。再就職に気が乗らないのは、自分の人生後半戦をどう生きていきたいか見失っている自分の問題だ。

また、筆者は過去勤務していた企業で、期間限定契約社員の方の大量採用・戦力化という人材戦略の中で「キャリア相談室」の立ち上げ・運営スタッフを経験しました。

契約社員は、3年という短い契約期間の中で、仕事での目標達成、同僚・上司・顧客との関係、教育機会を通じて社会人基礎力を高め、人的ネットワークを拡大していきます。様々な喜怒哀楽の中で、それぞれのキャリアを構築していった多くの契約社員の方の卒業を見守り、またその方々が社会でますます活躍していっている様をメディアやSNSなどを通じて拝見できることは、キャリアカウンセリングを学んだものとして本当に幸せなことだと思っています。

当時の契約社員の方に寄せていただいたキャリアカウンセリングの感想の中には「こうした個人のキャリアの相談の場をつくってくれる会社に入社できてよかった」「キャリアカウンセリングの勉強を自分もしてみたいと思った」という声もありました。

キャリアカウンセラーになって支援をしたい方は

キャリアカウンセリングについて調べていくうちに、自分もキャリア相談をされる側のキャリアカウンセラーになってみたいと思った人もいるかもしれません。

ここからはキャリアカウンセラーを目指すことについてご説明します。

相談者にとって役立つカウンセリングの基礎を身につけることが重要

キャリアカウンセラーとして重要な責務は「クライアントにとって役に立つ(キャリア)カウンセリングができる」ための土台、基礎をしっかり学び、身につけることです。

カウンセリングとは、単に問題の解消や除去だけではなく、クライアントが自分の力で社会の中で生きていくことの支援を目的とした心理学的な専門的活動です。
専門のトレーニングを受けた者が行うその活動は大部分が原語を通して行われる「過程」=プロセスであり、カウンセラーとクライアントの人間関係、良好な信頼関係が結ばれていることが重視されます。

相談者にとって役に立つカウンセリングの基礎とは、「何らかの問題を解決すべく援助を求めているクライアント」の問題を、一緒に解決する一歩を踏み出し、クライアントがみずから問題を明らかにし、結果として解決への扉を開けられるよう、信頼、安心できる関係を築くことです。

GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラムで学ぶ

数あるキャリア支援者の養成講習の中から、「GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム」を選んだ理由にもっとも多いのは「独学が難しいカウンセリングの実技を体系的に学習できるから」という声です。

GCDFでは、確かなカウンセリング関係を確立するために必要な態度を身に着けていく学習・訓練に多くの時間を割きます。

その中では、カウンセリングの発達・発展を通して一貫して重視されてきた「個人の尊重」という考え方に触れます。キャリアカウンセラー自身が「人間存在の本質をどう観るか」、カウンセラー自身の価値観や信念・哲学を自己理解していることの重要性も学んでいきます。

自分がカウンセラーとして、クライアントと関わる中で『自分はクライアントにとって「誰」なのか、「何をする人」なのか』をセルフモニタリングし続けることは大事なカウンセリングの基礎の一つです。

GCDFで学べば、援助者である自身の「態度・姿勢」を見つめ、磨きつづけるために不可欠なすぐれた講師、ともに切磋琢磨する学習仲間との出会いも期待できます。

GCDFを受講した理由に「自分のキャリアの相談をした方がとてもよく話を聴いてくださる方で、その方がGCDF-Japanキャリアカウンセラーだったから」「尊敬する会社の先輩・上司から、GCDFのトレーニングが役に立ったとすすめられたから」という声もよく聞きます。

実は筆者自身のGCDFの受講も、前職の人材サービス事業会社に勤務している時に、人事採用業務を担当していた先輩や、新規事業開発を担当している先輩方がこぞってGCDF資格を持って充実した仕事をなさっている姿に触発されたことがきっかけのひとつでした。

実践的なカウンセリング実技のトレーニングは、目から鱗も涙も両方落ちるような経験でした。それでも大手メーカーやITサービス等企業の人事職、管理職、大学キャリアセンター、人材派遣、人材斡旋、留学支援、公務員、障害者支援、ライター・インタビュアーなど多彩な事業・職務のプロフェッショナルな受講者同士の刺激的な切磋琢磨と友情に支えられ、無事修了することができました。

筆者はGCDF-Japanキャリアカウンセラーの資格取得後、GCDF受講者・資格者の人脈で専門職としての実務の経験を積み、学びを継続しています。

キャリアコンサルタント養成講習GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム

キャリアカウンセラーの資格を取得する

キャリアカウンセラー資格は、GCDF-Japanキャリアカウンセラー資格をはじめいくつかあります。

2000年ごろから2015年ごろまでは、十数団体が民間のキャリアカウンセラー資格を発行していました。2016年に国家資格キャリアコンサルタントが法制化されたことにより、キャリア支援資格の主流は民間のキャリアカウンセラー資格からキャリアコンサルタント資格に移りました。

▼関連ページ
キャリアコンサルタントとは?資格取得までのステップと試験合格後の手続きを解説

キャリアコンサルタントの国家資格化により、キャリアカウンセラー資格発行団体の多くは独自認定する民間のキャリアカウンセラー資格の発行を取りやめ、現在は厚生労働大臣認定キャリアコンサルタント養成講習の実施団体として存続しています。

2023年現在も存続しているキャリアカウンセラー資格のうちのひとつが、キャリアカウンセリング協会が運営している「米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー」資格です。

GCDF-Japanキャリアカウンセラーは
①キャリアカウンセラーとしての教育歴(GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラムの全授業に出席)
②学科試験・実技試験の合格
③最終学歴に応じたキャリア支援実務の経験内容と年数
以上の3項目を資格発行団体の米国CCE,Inc.が証明する民間資格です。

人材サービス大手企業企業ほか需給調整機関・企業・教育機関から「キャリア支援者としてのプロフェッショナル・実務家」として定評があります。

GCDF-Japanキャリアカウンセラーを養成するためのトレーニングプログラムは、同時に厚生労働大臣認定キャリアコンサルタント養成講習でもあります。キャリアコンサルタント国家資格を取得した後、キャリア実務経験を積んでGCDF-Japanキャリアカウンセラー資格を取得する人もいます。

国際基準のカリキュラムで学べるGCDF-Japan

▼参考ページ
キャリアカウンセラーとは?キャリアコンサルタントとの違いも解説

キャリアカウンセリングについてのまとめ

最後に、キャリアカウンセリングについてまとめました。

  1. キャリアカウンセリングとは、「職業生活を送っていく上で関連するあらゆる問題を対象とするカウンセリング」
  2. 日本ではキャリアカウンセリングを「キャリアコンサルティング」と呼称
  3. キャリアカウンセリングの起源は20世紀初頭の「職業指導運動」
  4. キャリアカウンセリングを受けられる場所は有料・無料問わず年々増加
  5. 相談者のうち、約67%の人が「相談して良かった」と回答
  6. キャリアカウンセラーを目指すなら、基礎を身につけることが重要