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私たちは、変化が激しく先行きが不透明で、将来予測が困難な時代の中を生きています。「VUCA(ブーカ)時代」と呼ばれる今の時代、働く個人は自分のキャリアについて主体的に考え、継続的に取り組んでいく必要があります。

働く人のキャリア形成を支援するキャリア支援の専門家、キャリアコンサルタント。
いずれはキャリアコンサルタントになって、働く人たちがイキイキと活躍できるように支援したい方も多くいらっしゃることと思います。

本記事を読むと、キャリアコンサルタントが今注目されている理由とキャリアコンサルタントに実現できる支援について理解を深められます。キャリアコンサルタント資格を目指す際の参考にしていただければ幸いです。

キャリアコンサルタントの将来性、注目される理由は?

キャリアコンサルタントは将来性のある資格なのか、なぜ注目されているのか。働く人、企業経営、国の3つの観点から、キャリアコンサルタントに実現できる支援について考えてみます。

キャリアコンサルタントの将来性、注目される理由は?

キャリアコンサルタントは相談者のキャリアを"伴走"する存在

大学卒業後、最初に新卒で入社した企業で定年まで勤め上げ、豊かな暮らしを手に入れるといった人生を大多数の人が目指した、高度経済成長期のような時代は終わりました。

近年は、日本の賃金水準が低迷を続けたり、新しいスキルや知識を習得しても社会や技術の変化スピードが早いためにすぐに陳腐化してしまいます。働く人の不安や悩みはより広く、深くなっています。そんな先行き不透明な時代であろうと、イキイキと働き続けるためには、どうすればいいのでしょうか。

働く人にとって大切なことは、自分は結局のところどのように生きたいのか、どのように働きたいのかを考えながら、自分にとっての幸せを実現することです。
働き方の変化やコロナ禍のような社会的影響、出産や育児、介護、病気の治療や家族との時間、新たに学び直す機会―ライフスタイルの変化にともなって、キャリアを見つめ直す機会は、人生の中で何度も訪れます。

キャリアコンサルタントは、キャリアについて悩む相談者の傍らにいて、話を聴き、受け止め、アドバイスする「伴走者」としての存在です。働き方も生き方もますます個別化・多様化していく中、より多くの働く人がキャリアコンサルタントによる支援を必要とすることでしょう。

出典
厚生労働省「雇用政策研究会報告書(案)~人口減少・社会構造の変化の中で、ウェル・ビーイングの向上と生産性向上の好循環、多様な活躍に向けて~
キャリアカウンセリング協会「キャリアコンサルタント/キャリアカウンセラーを取り巻く環境

人的資本経営の実現と働く人のキャリア形成を両立する役割

2020年9月、経済産業省は、一橋大学名誉教授の伊藤邦雄氏が座長を務める検討会の報告書、通称「人材版伊藤レポート2.0」を発表しました。

社会環境変化のスピードが激しく、企業は経営戦略と人材戦略を連動させるのが困難な状況に置かれています。そのような中で、従業員が持つ知識や能力を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる「人的資本経営」という考え方が重要になってきました。

これまで、人材は「既に持っているものを使う、今あるものを消費する」という意味を含んだ「人的資源」と捉えられていました。「人的資源」という捉え方を出発点とすれば、マネジメントの方向性も「いかにその使用・消費を管理するか」という考え方となり、人材に投じる資金もコストとして捉えられます。

人材を「人的資本」として捉え、「状況に応じて必要な人的資本を確保する」という考え方へ転換すると、マネジメントの方向性も「管理」から人材の成長を通じた「価値創造」へと変わり、人材に投じる資金は価値創造に向けた投資となります。

企業経営を軸に「人」を捉えてみると、人とは資源であり資本でもある。とはいえ、「人」は一人ひとり、個性も生き方も働き方も異なる存在であり、幸せになる権利を持っています。企業の方向性は理解できるものの、どうも合わないと感じている従業員もいるでしょうし、やりたいことが明確にあって入社したものの、だんだん企業の方向性が合わなくなってきたと悩んでいる従業員もいることでしょう。

アメリカやイギリスなどの欧米各国と比べ、日本における人的資本への取り組みは道半ばです。人事領域では「人的資本」「人的資本経営」というキーワードを頻繁に目にするようになったものの、形式的な取り組みにならないよう具体的な施策が重要となっています。

キャリアコンサルタントには、企業の成長のベクトルと従業員個人の成長や幸せのベクトルをバランスをとって支援し、双方の橋渡しをする役割が期待されているのです。

▼関連ページ
キャリアコンサルタント資格者向けに技能講習を実施しています。
【CCA】個と組織を活かす人的資本経営時代のキャリアコンサルティング技能講習

出典
経済産業省「人的資本経営とは
経済産業省「人材版伊藤レポート2.0」を取りまとめました

「人への投資」と個人の長期的なリスキリングへの橋渡し

国は、さまざまな難局が押し寄せている中、働く人への投資を行うことを明確に打ち出しています。

2022年6月に発表された「経済財政運営と改⾰の基本⽅針2022」では、新しい資本主義に向けた改革の重点投資分野として、人への投資と分配を挙げています。この方針の中で「我が国において、創造性を発揮して付加価値を生み出していく原動力は「人」である。自律的な経済成長の実現には、民間投資を喚起して生産性を向上することで収益・所得を大きく増やすだけでなく、「人への投資」を拡大することにより、次なる成長の機会を生み出すことが不可欠である」としています。働く人が自らスキルアップし、成長分野へ移動するための支援、リカレント教育と呼ばれる社会人の学び直し促進のための環境整備や、多様な働き方を選択でき、活躍できる環境整備などの施策があります。

国の施策である「人への投資」に対して、キャリアコンサルタントにはどのような役割が期待されるでしょうか。

1つめは、国の労働政策を踏まえた上での個別支援です。
日本は、デジタル化や脱炭素化、人口減少に伴う労働力不足にも直面し、国力を維持するだけの労働力確保と生産性向上が急務です。
「経済財政運営と改⾰の基本⽅針2022」は国民に向けた一律のメッセージです。働く人の自己実現はひとりひとり異なるので、国の施策は自分の考える生き方や働き方とは異なるという人もいるでしょう。
一方で、社会経済の動向や社会的ニーズを見ることなく自分の実現したいことだけを考えてキャリア形成をすると、生活レベルが不安定になるなど現実的に困ってしまうこともあります。

社会経済の動向や労働政策、あるいは企業の雇用、人事制度といった働く事をめぐる環境をみる視点をもった上で、働く個人がどのように生きたいのか、どのように働きたいのかを共に考え、一人ひとり異なる自己実現に向けて支援をする。それが今求められているキャリアコンサルタントの役割です。

2つめは、長期的なリスキリング支援です。
社会経済環境の変化するスピードは早く、新しいスキルや知識をリスキリング*しても、あっという間に陳腐化してしまいます。技術革新やビジネスモデルの変化に対応し続けるためには、継続的にリスキリングを行うことが必要なのです。
キャリアコンサルタントには、目の前の業務遂行のためだけでなく、人生100年時代を迎えて働く期間が長期化する中で、働く人が長期的に学び続ける基盤をつくるリスキリング支援が期待されています。

*リスキリング・・・新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること
出典:経済産業省「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」2021年、p.6

出典
内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2022

キャリアコンサルタントの現状と今後の需要は?

企業やハローワーク、教育機関に限らず、今後さまざまな場所での活躍が期待されるキャリアコンサルタント。資格者の活動の現状と今後の需要について考えてみます。

キャリアコンサルタントは約72,000人。うち8割が活動

2016年4月から国家資格化されたキャリアコンサルタント。2024年3月末現在、72,567人が登録しています。資格者はすべての都道府県にいるものの、特に東京を中心に関東地方に多い傾向にあります。

また、独立行政法人労働政策研究・研修機構の「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」によると、キャリアコンサルタント資格者のうち、「ほぼ毎日活動している」が約3割、「週1回あるいは週2~3回程度活動している」が約2割、「不定期に活動している」が3割弱となっています。

キャリアコンサルティングに関連する活動

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」より引用

企業や需給調整機関での活躍がメイン

「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」によると、最も多い活躍の場は企業で、3割強の方が在籍しています。その他、ハローワークや派遣会社などの需給調整機関で2割、学校教育機関で2割弱と続きます。その他では、障がい者の就労支援・職業相談や医療機関、福祉施設などの医療・福祉領域、国や各自治体の行政サービスに係わる公共サービス領域など、さまざまな方面で活動していることがわかります。

キャリアコンサルタントの対応可能な領域および現在の主な活動の場出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」より引用

▼関連ページ
キャリアコンサルタントの年収や働き方は?活動状況についても解説

企業内キャリアコンサルティングの需要は今後も拡大

終身雇用制度が維持されている時代、従業員のキャリア開発は企業が主導していました。企業内キャリアコンサルティングは、従業員福祉の一環としての様々な悩み相談や、組織目標に基づいたキャリアパスで組織が計画的な人材配置・昇進を行うための研修プログラムのサブメニューとして行われていました。

2016年には、職業能力開発促進法が改正されました。事業主は、労働者が自ら主体的に取り組むキャリア開発の設計・目標設定、そのための能力開発の支援を行うことが努力義務であると法律に明文化されました。(2022年の追加改正で、更にその位置づけが強調されました)

現在の企業内キャリアコンサルティングは、従業員自身が主体的にキャリア開発を行うことが前提になっています。
キャリアコンサルティングを通じて、従業員は改めて自分のキャリアをどうしたいのかを主体的に考えます。退職をやめて副業を始めることを決心したり、上司や職場内での対話が促進されて人間関係が改善され、組織で働くことや仕事の新たな意味を発見・創造したりすることもあります。

キャリアコンサルティングの実施状況と実態出典:厚生労働省 第3回 今後の人材開発政策の在り方に関する研究会資料「キャリアコンサルティングの現状と課題 2019年11月27日

2019年に発表された「キャリアコンサルティングの現状と課題」によると、キャリアコンサルタントの活動の場はこの10年で大きく伸長しています。背景には、企業内キャリアコンサルティングを後押しする環境整備の影響が大きくあると考えられます。

企業内キャリアコンサルティングは、当初、大企業を中心に導入されました。大企業の場合、企業内に職種も支援制度も充実し、コストをかけられるからです。従業員の中からキャリアコンサルタントを養成し、企業内でコンサルティング制度を内製化することを追究する傾向が強くありました。

企業内キャリアコンサルティングの導入割合は、2018年時点で大企業の5割から6割が導入できている反面、中小企業では2割から3割程度にとどまっています。中小企業の場合、制度を導入したくても、人手やコスト、キャリア支援制度が機能する条件が整わないために断念してしまうケースもあります。

最近では、制度設計から導入、実行までを、キャリア支援の専門団体等に外部委託して、企業内キャリアコンサルティングの導入を実現する例も徐々に増えてきています。制度の内製化は難しい中小企業に加え、外部委託する大企業も増えています。

▼関連ページ
キャリア支援施策の推進役である、人事担当者・経営者向けの
企業内キャリア支援コンサルティングサービス

厚生労働省が2012年から行っている「グッドキャリアコンサルタント企業アワード」。
従業員の自律的なキャリア形成支援について、他の模範となる取り組みをしている企業を表彰するもので、これまでに従業員数12人から4万人超の企業が受賞しています。

キャリアコンサルティングの効果が徐々に認知されつつある中、更に多くのキャリアコンサルタントが企業と従業員の橋渡し役として今後活躍することでしょう。

出典
厚生労働省「グッドキャリアアワード
厚生労働省「グッドキャリアプロジェクト

キャリア相談のニーズは専門化・細分化している

働き方や生き方が一人ひとり個性化している時代にあって、キャリアコンサルタントに求められるニーズも多様化しています。
テレワークや選択的週休3日制度、副業・兼業など働き方の多様化への適応や選択支援、発達障害やLGBTQ、SOGI(ソジ)*理解の支援、治療と仕事の両立支援など、相談内容の細分化が更に進みつつあります。
キャリアコンサルタントには、若年者、女性活躍、中高年、あるいは能力開発、組織活性化といった自分の専門分野を持って深めていくことが求められています。そして同時に、他の領域の専門家と連携しながら共同支援していくことが、一層必要になるでしょう。連携する他の領域には、医療、福祉、学校教育、ファイナンシャルプランニング、社会保険、人事・労務などがあります。

2021年度から2026年度までの職業能力開発施策の基本方針を示した「第11次職業能力開発基本計画」では、施策の各所に「キャリアコンサルティング」が登場します。

企業内キャリアコンサルティングを推進すること、キャリアコンサルティングを利用しやすい環境を整備すること、キャリアコンサルタントの専門性向上やネットワークづくりを促進すること、非正規雇用労働者や就業経験の少ない若者、ニートや高校中退者、中高年労働者、障がい者、就職氷河期世代、外国人労働者ほかのキャリア形成支援など、基本的施策の様々な場面で活躍が期待されています。

*SOGI(ソジ)・・・Sexual Orientation and Gender Identityの頭文字を取った略称です。日本語では「性的指向と性自認」と訳され、好きになる相手の性と自分で認識している性のことを指します。この表現は、特定の性的指向や性自認の人のみを対象とする表現ではありません。
厚生労働省「職場と性的指向・性自認をめぐる現状」より引用

出典
厚生労働省「第11次職業能力開発基本計画を策定しました

キャリアコンサルタントになるには

変化のスピードが激しい時代、働く人のそばで生き方や働き方を一緒に考え、伴走し続けるキャリアコンサルタント。キャリアコンサルタントに期待される役割を知り、ぜひ自分も目指したいと思っている方もいることでしょう。

キャリアコンサルタントになるには、受験資格を得た上で、国家試験に受験し、合格することが必要です。受験資格はいくつかありますが、厚生労働大臣が認定するキャリアコンサルタント養成講習を受講修了することでも受験資格を得られます。

キャリアコンサルタント養成講習を受講するメリットは?

キャリアコンサルタント養成講習を受講するメリットは、受験資格を得られることだけではありません。
最大のメリットは、キャリアコンサルティングに必要な基礎知識・スキルを身につけられることです。カウンセリング実技を学び、相談者が安心して相談できるためのカウンセリング力を身につけましょう。

キャリアコンサルタント養成講習GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム

キャリアコンサルタントの将来性と今後の需要のまとめ

  1. 働き方の多様化で、より多くの人がキャリア支援を求めるように
  2. 国や企業と働く人とを橋渡しする役割が期待される
  3. リスキリングを継続する支援にも期待がかかる
  4. 企業内キャリアコンサルティングのニーズは特に増加している
  5. キャリアの多様化でキャリアコンサルタントの専門分野も増え続ける

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