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キャリアコンサルタントについて調べるうちに、「キャリアコンサルティング技能士」という、キャリアコンサルティングに関する別の資格の存在を知った方もいらっしゃるかと思います。

今回は、キャリアコンサルティング技能士とはどんな資格なのか?キャリアコンサルタントと何が違うのか?また、技能検定についてご説明します。

この記事を読むと、キャリアコンサルティング技能士の概要について理解でき、どちらのレベルからキャリアコンサルティングにチャレンジすべきか、わかるようになっているでしょう。

キャリアコンサルティング技能士とは?

キャリアコンサルティング技能士とは、どのような人を指すのでしょうか?

厚生労働省のWebサイトには、以下のように説明されています。

「キャリアコンサルティング技能士」とは、キャリアコンサルティング技能検定(国家検定)に合格した方をいいます。

キャリアコンサルティング技能検定では実務経験年数が受検要件として設定されており、キャリアコンサルティング技能検定が求める能力水準は、キャリアコンサルタント試験が求める能力水準の上位に位置づけられます。

具体的には、キャリアコンサルティング技能士1級は指導レベル、2級は熟練レベルとして位置づけられています。

出典:厚生労働省「『キャリアコンサルティング技能士』との関係

技能士とは?

「技能士」とは、技能検定に合格した人が名乗れる称号です。

技能検定とは「働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度」です。技能に対する社会一般の評価を高め、働く人々の技能と地位の向上を図ることを目的として、職業能力開発促進法に基づき実施されているものです。

出典:中央職業能力開発協会「技能検定制度とは

文部科学省サイトにある「国家資格の概要」によれば、国家資格は業務独占資格・名称独占資格・設置義務資格・技能検定の4種類に分類されます。
キャリアコンサルティング技能検定は、これらのうち、業務知識や技能などを評価する「技能検定」に分類されています。

「キャリアコンサルティング技能士」は、キャリアコンサルティング技能検定に合格した人が名乗ることのできる称号です。

出典:
文部科学省「国家資格の概要について
厚生労働省「技能検定職種一覧表(131職種)令和5年度技能検定 受験案内「キャリア・コンサルタント制度のあり方に関する検討会」報告書(2007年)
中央職業能力開発協会「技能検定のご案内

技能検定とは?

技能検定について、厚生労働省のWebサイトには以下のように書かれています。

技能検定とは、働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度で、機械加工、建築大工やファイナンシャル・プランニングなど全部で131職種の試験があります。

試験に合格すると合格証書が交付され、「技能士」と名乗ることができます。

出典:厚生労働省「技能検定制度について

技能検定の等級区分と試験の程度は下記のとおりです。
キャリアコンサルティング技能検定には、2級・1級があります。

等級キャリアコンサルティング技能検定試験の程度
特級 なし 管理者または監督者が通常有すべき技能の程度
1級および単一等級* 上級技能者が通常有すべき技能の程度
2級 中級技能者が通常有すべき技能の程度
3級 なし 初級技能者が通常有すべき技能の程度

*単一等級・・・等級を区分しないもの
出典:中央職業能力開発協会「技能検定制度とは

キャリアコンサルティング技能士とキャリアコンサルタントは何が違うのか?

キャリアコンサルティング技能士とキャリアコンサルタント、いったい何が違うのか、一覧にして比較しました。

キャリアコンサルタントキャリアコンサルティング技能士
国家資格の種類 名称独占資格
(職業能力開発促進法)
技能検定
(職業能力開発促進法)
始まった年月 2016年 ・2008年(2級)
・2011年(1級)
試験 国が行う 法律で指定された団体が行う
人数 72,534人
(2024年2月末現在)
・1級 563人
・2級 10,656人
(2022年3月末現在)
試験実施機関 2団体で実施
・特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会
・特定非営利活動法人日本キャリア開発協会
特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会
キャリアコンサルティングのレベル 標準レベル ・指導レベル(1級)
・熟練レベル(2級)
キャリアコンサルティング実務経験の必要有無 なし あり
資格更新の有無 あり なし

出典:
文部科学省「国家資格の概要について
キャリアコンサルタント登録センター「最新情報
キャリアコンサルティング技能検定「キャリアコンサルティング技能士数 2022年3月31日現在

なぜ、キャリアコンサルタントは技能士資格ではなく、名称独占の国家資格になったのか?

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なぜ、キャリアコンサルタントは技能士資格ではなく、名称独占の国家資格になったのでしょうか?

キャリアコンサルタントは、働く個人の悩み相談に応じ、問題解決を支援するのが基本的な役割であり、労働者個人の福祉の向上に寄与するというのが長らく国の政策基調でした。

しかしながら少子高齢化の進展が日本の労働力を衰退させ、国全体の生産性を悪化させることの深刻度が待ったなしで高まってきた結果、国におけるキャリアコンサルタントの位置づけが大きく変わりました。

労働者個人のウェル・ビーイング*1の向上と同時に、組織生産性向上への関与が役割としてクローズアップされ、併せて労働政策上の多くの場面でキャリアコンサルタントを活用する施策の検討が進みました。

活躍が期待される場面が大きく拡大し、さらに働く個人の多様化や価値観の多様化が急速に進行する中で、相談者が安心して相談できるように、キャリアコンサルタントへの信頼性を公的に保証する必要が高まったのです。

キャリアコンサルタントが国家資格化される2016年以前は、国家資格としての規制がないため、誰でも「キャリアコンサルタント」と名のることができました。

しかし国の労働政策の一翼を担うための社会的な信頼と認知を獲得するためには、国が公的にその専門性を保証し、併せて名称独占資格とする国家資格化が必然であるとされたのです。(キャリアコンサルタントの名称独占化についての「規制の事前評価書」*2 参照)

キャリアコンサルティング技能士は、優れたキャリアコンサルティング技能・知識のレベルの到達度を証明する資格であり、技能士個人の専門技能を証明することを目的とした資格です。

一方、キャリアコンサルタントは、一定のキャリアコンサルティング技能を有したうえで、法律に則って守秘義務を守り、継続的に技能・知識を学習・研鑽している専門家であること、すなわち国の労働政策実現の一翼を担う存在であることを保証するための資格です。

これがキャリアコンサルタントが、技能士資格ではなく名称独占の国家資格になった理由です。

*1 ウェル・ビーイング・・・個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。
 出典:厚生労働省「雇用政策研究会報告書 概要(案)人口減少・社会構造の変化の中で、ウェル・ビーイングの向上と生産性向上の好循環、多様な活躍に向けて

*2 厚生労働省「キャリアコンサルタントの名称独占化についての規制の事前評価書

【関連記事】
キャリアコンサルタントの将来性と注目される理由、今後の需要を解説

キャリアコンサルティング技能士は「キャリアコンサルタント」の上位資格

キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能士、求められる能力は異なるのでしょうか?

厚生労働省によるキャリアコンサルティングのレベルを元にしますと、2級キャリアコンサルティング技能士は「熟練レベル」、1級キャリアコンサルティング技能士は「指導レベル」に該当する資格です。

キャリアコンサルタントは「標準レベル」ですので、キャリアコンサルティング技能士は2級、1級いずれもキャリアコンサルタントの上位資格となります。

キャリアコンサルティングに関わる国家資格と学び・成長

出典:特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「5分でわかるキャリアコンサルティングの資格試験

それぞれのレベルで何が違うのか、どのような面談ができるのかイメージがつきにくい方も多くいらっしゃることと思います。
ここから、キャリアコンサルティングのレベルについてくわしく説明します。

指導レベル

国家資格:1級キャリアコンサルティング技能士

個人の相談支援を2級より高い水準で的確に行うキャリアコンサルティング能力を有し、組織への働きかけや関係者との連携などのコーディネート能力が求められ、キャリアコンサルタントからの相談に対して不安を解消し、気づき、成長を促すような指導・アドバイスができるレベル。

スーパービジョンの知識とスーパービジョンの実施スキルが必要とされる。

熟練レベル

国家資格:2級キャリアコンサルティング技能士

個人の相談に対して相談者との関係構築のもとに問題・課題などを見立てることができ、1対1の相談支援が的確にできるレベル。

標準レベル

国家資格:キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントが国家資格となる2016年3月以前、当時のキャリア・コンサルタント養成講座を受講し、キャリア・コンサルタント能力評価試験に合格すると「標準レベルのキャリア・コンサルタント」と総称された。
キャリアコンサルタント国家資格は、標準レベルのキャリア・コンサルタントに求められてきた能力の範囲及び水準が実質同程度のものとして創設された。

導入レベル

国家資格:なし

専門的キャリア・コンサルタントのアシスト機能。

キャリアコンサルティングの能力要件とレベルの仕組みは、2002年から2005年にかけて急速に整備されました。

  • 標準レベルの策定(2002年)
    まだ当時は、キャリアコンサルティング人材の養成の在り方等について統一的な枠組みが示されていませんでした。そこで、民間講座等の実態を踏まえて、標準的なキャリア・コンサルティング体系を作成し、キャリア・コンサルティング実施のために必要な能力要件を明確にしました。そこで最初に定義されたのが「標準レベル」です。

  • 指導レベル・標準レベル・導入レベルの3レベルに分類(2003年)
    標準レベルのキャリア・コンサルティングを担う人材が、キャリア・コンサルティングを効果的に実施するためには、他の専門機関などとのネットワーク形成などに加え、より上級の専門家から指導(スーパービジョン)を受けることが不可欠であるとされました。
    標準レベルの人材に対して指導(スーパービジョン)を実施する人材の存在が強く求められるとされ、2003年に策定されたのが指導レベルです。
    「指導」とはキャリアコンサルタントの指導者という意味であり、キャリアコンサルタント養成講習の講師について指すのではありません。

    また、キャリア・コンサルティングの普及促進策のひとつとして、2003年からの数年、厚生労働省委託事業による導入レベルのセミナーが行われました。21時間程度のカリキュラムで、企業の人事担当者や若年者支援者などが対象でした。

  • 熟練レベルを追加し、4レベルに増加(2005年)
    2005年策定当時、「標準レベルのキャリア・コンサルタントが、キャリア・コンサルティングの現場において、十分な実践ができる水準にあるとは言いがたい」こと自体が問題となっていました。
    安心してクライアントを任せられるレベル、すなわち、熟練キャリア・コンサルタントのレベルこそ、本来の「標準」レベルなのであるとして検討され、「熟練レベル」が策定されました。

これらのレベルが策定された後も、社会環境や産業構造・労働構造の変化、労働政策上のキャリア支援の重要度の高まりを踏まえ、キャリアコンサルタント能力要件の見直しが行われています。

出典:
厚生労働省「キャリア・コンサルティング実施のために必要な能力等に関する調査研究報告書」平成14年(2002年)4月
中央職業能力開発協会「キャリア・コンサルティングの効果的普及のあり方に関する研究会報告書」平成15年(2003年)3月
厚生労働省「平成28年3月までのキャリア・コンサルタント制度について
厚生労働省「キャリア・コンサルタント制度のあり方に関する検討会」報告書、2007年
厚生労働省「キャリア・コンサルタント制度のあり方に関する検討会」報告書資料、2007年

【関連ページ】
キャリアコンサルタントとは?資格取得までのステップと試験合格後の手続きを解説

なぜ、キャリアコンサルティング技能検定は誕生したのか?

キャリアコンサルティング技能検定は、2008年に誕生しました。背景には、どのような出来事があったのでしょうか?

国家資格キャリアコンサルタントもキャリアコンサルティング技能士も誕生する前は、民間団体がそれぞれのキャリア・コンサルタント養成講座を行っていました。

当時、キャリア・コンサルタント養成講座の修了者は、各団体が実施する認定試験に合格し、標準レベル・キャリアコンサルタントの資格を取得しました。

しかし、2007年に発表された「キャリア・コンサルタント制度のあり方に関する検討会」の報告書によれば、当時の養成講習修了者からは「自分自身の力量が十分でない」という声が4割から上がっていました。相談者などからは「単なるヒアリングで終わった」「キャリア・コンサルティングが表面的」といった評価が、指導者からは「レベルにバラツキがある」「説教調で意見の押しつけ」「クライアントやキャリア・コンサルティングに対し、偏った固定観念を持っている」 などの指摘がなされました。

「キャリア・コンサルタント制度のあり方に関する検討会」は、キャリア・コンサルティングの必要性の高まりに比してキャリア・コンサルティング制度がまだ十分に整備されていないことから、質量両面で充実をはかる対策を検討するものでした。

この検討会では「キャリア・コンサルタント」のレベルアップと試験の統一に向けた方策を検討しました。報告書には以下のように書かれています。

キャリア・コンサルタント試験の統一のあり方については、近年、資格制度等の規制緩和が進められる中で、参入規制を伴う業務独占資格のような制度とすることは困難であり、かつ性格的にもふさわしくないと思われる。

キャリア・コンサルタントのレベルアップと試験の統一を図ることを目的とするのであれば、例えば、技能検定のような、一定の能力水準にあることを公証するシステムを用いることが考えられる。

技能検定制度については、近年、都道府県実施方式から民間の指定試験機関実施方式に移行しつつあり、また職種についても、従来のものづくり等から、ファイナンシャル・プランニング技能士など、サービス・情報関係も含まれるようになる等 幅広い能力評価制度として展開しつつある。

したがって、キャリア・コンサルタントの統一試験を技能検定制度に乗せていくことは無理のない方策であり、特にファイナンシャル・プランニング技能士の制度は、キャリア・コンサルタント試験の設計に当たり参考とすることができよう。

出典:厚生労働省「『キャリア・コンサルタント制度のあり方に関する検討会』報告書

2008年よりキャリア・コンサルティング技能検定(2級)が開始され、最初のキャリア・コンサルティング技能士が誕生しました。

2009年からは「指導レベル」キャリア・コンサルタントの制度設計が議論され、2011年にキャリアコンサルティング技能検定(1級)が開始されたのです。

出典:
厚生労働省「平成20年度キャリア・コンサルティング研究会」報告書(概要)、2009年
厚生労働省 平成27年度「キャリア・コンサルティング研究会」報告書、2015年

キャリアコンサルティング技能検定を受験する

本を読んで勉強する女性

キャリアコンサルティング技能検定を受験する前に、まず知っておきたい受験資格や試験範囲、合格率についてご説明します。

キャリアコンサルティング技能検定1級・2級の受験資格は?

キャリアコンサルティング技能検定のWebサイトによると、受験資格は以下のとおりです。

1級の受検資格

  1. 10年以上の実務経験を有する者
  2. 9年以上の実務経験を有する者で、大学において検定職種に関する科目について20単位以上修得し、卒業したもの
  3. 9年以上の実務経験を有する者で、キャリアコンサルタント試験の受験要件を満たすものとして厚生労働大臣が認定する講習を修了したもの又はこれと同等以上の講習を修了したもの
  4. 8年以上の実務経験を有する者で、大学院において検定職種に関する科目について8単位以上修得し、修了したもの
  5. 8年以上の実務経験を有する者で、キャリアコンサルタント試験に合格したもの、又はキャリアコンサルタントであるもの
  6. 2級の技能検定に合格した者で、その後、3年以上の実務経験を有するもの
出典:国家検定 キャリアコンサルティング技能検定「受検資格

2級の受検資格

  1. 5年以上の実務経験を有する者
  2. 4年以上の実務経験を有する者で、大学において検定職種に関する科目について20単位以上修得し、卒業したもの
  3. 4年以上の実務経験を有する者で、キャリアコンサルタント試験の受験要件を満たすものとして厚生労働大臣が認定する講習を修了したもの又はこれと同等以上の講習を修了したもの
  4. 3年以上の実務経験を有する者で、大学院において検定職種に関する科目について8単位以上修得し、修了したもの
  5. 3年以上の実務経験を有する者で、キャリアコンサルタント試験に合格したもの、又はキャリアコンサルタントであるもの
出典:国家検定 キャリアコンサルティング技能検定「受検資格

キャリアコンサルティング技能検定1級・2級の試験形式

キャリアコンサルティング技能検定の試験形式について説明します。

1級

1級は、キャリアコンサルティングの職種における上級の技能者が通常有すべき技能及びこれに関する知識の程度を基準として試験が行われます。

学科試験
出題形式 筆記試験(五肢択一のマークシート方式による解答) 50問
試験時間 100分
合格基準 100点満点で70点以上の得点
受検手数料 11,200円

実技試験
論述 出題形式 記述式による解答 2ケース
試験時間 120分
面接 出題形式 ロールプレイ
(受検者が事例指導者役となり、事例相談者役の指導を行う)
口頭試問
(自らの事例指導について試験官からの質問に答える)
試験時間 40分(ロールプレイ30分、口頭試問10分)
合格基準 論述:100点満点で60点以上の得点
面接:100点満点で60点以上の得点
※評価区分ごとに満点の60%以上の得点(所要点)が必要です。
受検手数料 29,900円(非課税)

出典:国家検定 キャリアコンサルティング技能検定「1級キャリアコンサルティング技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目

2級

キャリアコンサルティングの職種における中級の技能者が通常有すべき技能及びこれに関する知識の程度を基準として試験が行われます。

学科試験
出題形式 筆記試験(四肢択一のマークシート方式による解答) 50問
試験時間 100分
合格基準 100点満点で70点以上の得点
受検手数料 11,200円

実技試験
論述 出題形式 記述式による解答 1ケース
試験時間 60分
面接 出題形式 ロールプレイ
(受検者がキャリアコンサルタント役となり、相談を行う)
口頭試問
(自らの相談について試験官からの質問に答える)
試験時間 30分(ロールプレイ20分、口頭試問10分)
合格基準 論述:100点満点で60点以上の得点
面接:100点満点で60点以上の得点
※評価区分ごとに満点の60%以上の得点(所要点)が必要です。
受検手数料 29,900円(非課税)

出典:国家検定 キャリアコンサルティング技能検定「2 級キャリアコンサルティング技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目

キャリアコンサルティング技能検定の試験日程

今後実施されるキャリアコンサルティング技能検定の試験日程は下記のとおりです。

1級

第14回(2024年後期)

学科試験・実技試験(論述)
開催地区:札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡・沖縄
2024年12月8日(日)

実技試験(面接)
開催地区:東京・大阪
2025年1月から2月の間に設定

2級

第32回(2024年前期)
開催地区:札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡

学科試験・実技試験(論述)
2024年6月16日(日)

実技試験(面接)
2024年6月から7月の間に設定

出典:国家検定 キャリアコンサルティング技能検定「試験日程

キャリアコンサルティング技能検定1級・2級の合格率

キャリアコンサルティング技能検定1級、2級の合格率は以下の通りです。
1級も2級も特に実技試験の合格率が低く、1級は10%未満、2級も20%未満と、比較的難易度の高い資格です。

1級キャリアコンサルティング技能検定

実施回受検者数合格者数合格率
第13回
(2023年後期)

学科
476人

実技
907人

学科
184人

実技
84人

学科
35.66%

実技
8.97%

第12回
(2022年後期)

学科
495人

実技
886人

学科
495人

実技
60人

学科
38.86%

実技
6.77%

第11回
(2021年後期)

学科
594人

実技
744人

学科
396人

実技
74人

学科
62.56%

実技
9.62%

第10回
(2020年後期)

学科
407人

実技
763人

学科
67人

実技
59人

学科
14.57%

実技
7.25%

2級キャリアコンサルティング技能検定

実施回受検者数合格者数合格率
第32回
(2024年前期)

学科
895人

実技
1,722人

学科
501人

実技
299人

学科
52.30%

実技
16.81%

第31回
(2023年後期)

学科
900人

実技
1,679人

学科
719人

実技
265人

学科
74.05%

実技
15.14%

第30回
(2023年前期)

学科
842人

実技
1,540人

学科
537人

実技
283人

学科
58.18%

実技
17.72%

第29回
(2022年後期)

学科
868人

実技
1,457人

学科
657人

実技
234人

学科
68.87%

実技
15.36%

第28回
(2022年前期)

学科
737人

実技
1,476人

学科
450人

実技
268人

学科
57.40%

実技
17.63%

第27回
(2021年後期)

学科
869人

実技
1,570人

学科
621人

実技
308人

学科
66.77%

実技
19.01%

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キャリアコンサルティングとは?内容やメリットについて解説

キャリアコンサルティング技能士に聞く、取得のメリットとは?

オフィス街に立つ笑顔の女性

2級キャリアコンサルティング技能士の方に、仕事上の変化や気持ちの変化などを伺いました。

2級技能士取得後、仕事上の変化はありましたか?

  • 主業務のほかに、求職者向け就職支援セミナーの開催をする、仕事の内容が深くなる、など、周囲から資格を意識した仕事の与え方をされるようになりました。
  • 人材サービス会社で営業活動、現場メンバーのマネジメント、営業チームのマネジメントをしていますが、相手の話を聞く時に、小さなすれ違いを恐れずに課題を擦り合わせして合意するというプロセスを意識するようになり、結果としてメンバーや顧客の安心感を得られている実感があります。
  • 技能士取得前からカウンセラーとしての仕事をしていましたので、職種としての変化はありませんが、仕事の幅は広がりました。
  • カウンセラーの資格を単に活かすというよりは、経験や知識が豊富なカウンセラーに依頼をしたいという意図の仕事もオファーを頂けるようになったと感じています。具体的には、大学の上位校での就職支援や個人が有料でカウンセリングを受けてキャリアについて考えたいという際に選んで頂けるようになりました。

技能士の資格を活かした仕事をしていますか?

  • ちょうど2級の受検とおなじタイミングで転職をしました。GCDFを修得し、継続学習の中で技能士の勉強をすることで「もう少しキャリア支援に特化した仕事をしたい」と思ったのが転職のきっかけでした。技能検定試験の合格を知ったのは採用の少しあとだったのですが、勉強したことが丸ごと活かせる仕事なので、受検の時に学んだことが役立っていると日々感じています。
  • 名刺に記載する事で新規営業の際に顧客から言及される事もあります。技能士の資格を得た事で、自分の相手へのアプローチ方法にいい意味で自信が持てました。コミュニケーションをとる仕事の方には非常に有意義な資格だと思います。
  • 大学や転職支援機関、若年層離職者支援機関、職業訓練でのキャリアカウンセリング、留学支援機関での渡航者向け能力開発等を行っています。

技能士になってから、環境の変化や気持ちの変化はありましたか?

  • 「プロとしての仕事ができているか」を意識するようになりました。検定前の準備講座で講師の田中春秋先生が、「クライアントがお金を払って満足できる内容かどうか」という意味のことをおっしゃいましたが、なるほどと思っています。「自分の仕事は、お金を払う価値のある内容かどうか」をよく考えます。
  • 現在は営業活動がメインですが、受検資格を満たしたら今後一級の資格も取り、カウンセラーの養成にも努めたいと考えています。
  • 環境の変化は特にありませんが、意識はより一層高まりました。プロとして自分の言動に責任を持ってクライアントと対峙しなければと新ためて気を引き締める様になりました。

技能士として今後こんな仕事をしていきたい、目指している、などお考えをお聞かせください。

  • キャリア支援には一生関わって行きたいと思っています。今後は、病後のリワークや障害者就労支援など、福祉と就労に関わる仕事をしたいと思います。
  • 今後一級の資格も取り、カウンセラーの養成にも努めたいと考えています。
  • 若者のキャリア支援に軸を置いていきたいと思っていますが、大学だけでなく高校からのキャリア支援の必要性を感じています。日本の社会はどの会社に入るか、どの大学に入るかを大切にする傾向があり、もちろんそれも一理あるのですが、自分のキャリアをどう考えるかという意識が薄い様に感じます。時々今の自分が、高校生の自分にアドバイスできればと思う事もあるのですが(笑)、自分自身の学生時代を振り返ってみても、そういった知識を得る機会が学校であれば、もっと将来に向けての意識が高まっていたのではないかと感じます。他力なのかもしれませんが、やはりきっかけを作る事は教育の場でやるべきことなのではないかと私は考えます。
    進学をするにしても、単に偏差値のいい大学に行くという選択肢ではなく、自分の将来を見据えた進路選択が出来る様、支援が出来たらと考えています。

【関連記事】
キャリアコンサルタントの年収や働き方は?活動状況についても解説

キャリアコンサルティング技能士の所属団体は?

ACCNのトップページ出典:一般財団法人ACCN(オールキャリアコンサルタントネットワーク)

キャリアコンサルティング技能士には所属団体があるのでしょうか?

現在、キャリアコンサルティング技能士だけで構成される団体はありません。ただし、国家資格キャリアコンサルタントを保持しているキャリアコンサルティング技能士であれば、キャリアコンサルタントの職能団体「一般社団法人ACCN(エー・シー・シー・エヌ)」に入会できます。

ACCNのWebサイトでは、キャリアコンサルタントと2級技能士、1級技能士が同じ団体の中で資質向上を図ることについて「一律の研鑽方法ということではなく、レベルに合わせたスキルアップカリキュラムというものも想定できますし、社会のテーマにあわせたタスクフォース的なスキルアップカリキュラムということも想定できます。画一的な運用ではなく、支部活動とも連携を図りながら柔軟に対応していく予定です」と言及しています。

出典:一般社団法人ACCN「技能士と国家資格キャリアコンサルタントとの関係性について

過去には有資格者組織「キャリア・コンサルティング技能士会」があった

2018年まで、特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会の傘下に「キャリア・コンサルティング技能士会」という団体がありました。キャリア・コンサルティング技能士の有資格者団体で、研鑽や職能団体、資質向上などを目的に活動が行われていました。

2016年のキャリアコンサルタント国家資格化後、キャリアコンサルタント職能団体(ACCN)の発足にともなってキャリアコンサルティング技能士会はなくなりました。

現在、キャリアコンサルティング技能士の活動拠点はACCNに引き継がれています。
中でも北海道、東北、北関東、東京、神奈川、中部、関西、中國・四国、九州・沖縄の9つの支部活動は、キャリアコンサルティング技能士会の支部活動がルーツとなって、今に至ります。
ACCN会員の登録支部は居住地によって決まりますが、支部活動はどちらも支部にも参加できます。支部ごとにFacebookページが開設されていて、活動内容を知ることもできます。

出典:ACCN「ACCNの支部は全部で9つ

過去には「技能士の窓」というキャリアコンサルティング技能士のデータベースがありましたが、現在は「キャリコンサーチ」に代わりました。
「キャリコンサーチ」では、キャリアコンサルティング技能士2級・1級などの所持資格でキャリアコンサルタントを検索することもできます。

キャリコンサーチ

キャリアコンサルティング技能士の倫理基準は?

キャリアコンサルタント倫理綱領を読む

キャリアコンサルティング技能士の倫理基準は、キャリアコンサルタントと同様「キャリアコンサルタント倫理綱領」に定められています。

キャリアコンサルタント倫理綱領は、キャリアコンサルタントが国家資格化された2016年に制定されたものです。「基本的姿勢・態度」と「職務遂行上の行動規範」が示されています。個人の人生設計にかかわる専門家として、倫理綱領を遵守し、職務に励むこととされています。

【関連記事】
キャリアコンサルタント倫理綱領とは?キャリコンのあるべき姿勢や行動規範について解説

キャリアコンサルティング技能士になるには

勉強する女性

キャリアコンサルティング技能士になるには、どのようなステップを踏めばよいでしょうか?

初めてキャリアコンサルティングを学ぶなら養成講習

キャリアコンサルティング技能検定を受験するためには、2級・1級いずれも実務経験を要します。

初めてキャリアコンサルティングを学ぶ方は、まずキャリアコンサルタント養成講習で基礎を身につけ、キャリアコンサルタント資格を取得することをおすすめします。

キャリアコンサルティングの技能を独学で身につけることも不可能ではありませんが、技能向上には、講師や勉強仲間、相談者役など他者視点のフィードバックや刺激が不可欠です。

受けたフィードバックを元に課題を見つけ、克服することで、実際に活動をはじめてからも自己流のカウンセリングに陥りづらくなります。その結果、本当に相談者のためにキャリア支援を行える状態に近づいていけるようになります。

キャリアコンサルタント養成講習GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム

2級取得に向けて実務経験を積みつつ対策講座などで準備

キャリアコンサルタント資格取得またはキャリアコンサルタント養成講習の修了以降、3年から4年の実務経験を積むと、いよいよキャリアコンサルティング技能検定2級の受験資格を満たせるようになります。

まずは企業や需給調整機関、教育機関などでキャリアコンサルティングの実務経験を積みながら、技能検定の受検に向けた準備をはじめます。

GCDFを運営するキャリアカウンセリング協会では、2級キャリアコンサルティング技能検定の試験対策講座を、年2回の試験時期に合わせて開講しています。

実技試験の面接・論述の対策を一日で行えるトレーニングは、「試験のイメージ、視点、留意点が良く分かった」「実際の試験出題ケースに関わることで、ケースの内容がより深く理解できた」など好評をいただいています。

CCAのキャリアコンサルタント向け学習情報「【CCA】2級キャリアコンサルティング技能検定 論述&面接試験 直前トレーニング

1級取得に向けてスーパーバイザー養成でさらに研鑽

1級の試験は、1対1の面接のレベルアップに加え、組織への働きかけやコーディネート能力、さらにキャリアコンサルタントへの指導・アドバイスができるレベルに該当するかどうかが評価されます。

1級を受検するには、キャリアコンサルタントなら8年以上、2級キャリアコンサルティング技能士の合格後でも3年以上の実務経験が必要です。

引き続きキャリアコンサルティングの実務経験を積みながら、受検準備を行います。

CCAスーパーバイザー養成・認定プログラムでは、キャリアコンサルタントへのスーパービジョンを実施できる質の高いスーパーバイザーの養成を行っています。

筑波大学とCCAが共同開発し、厚生労働省委託事業「令和2年度キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業」でスーパーバイザー試行養成講習にも選ばれたプログラムです。

これから1級を受検する方、またすでに1級に合格しながらも、スーパーバイザーとしての技能向上に努める方から好評いただいており、過去14年で受講者は100人以上にのぼります。

CCAのキャリアコンサルタント向け学習情報「【CCA】スーパーバイザー養成・認定プログラム

キャリアコンサルティング技能士についてのまとめ

最後に、キャリアコンサルティング技能士についてまとめました。

  1. キャリアコンサルティング技能士とは、キャリアコンサルティング技能検定(国家検定)に合格した方を指す
  2. キャリアコンサルティングには導入・標準・熟練・指導の4レベルが策定された
  3. キャリアコンサルティング技能士には1級・2級があり、いずれも国家資格キャリアコンサルタントの上位資格
  4. キャリアコンサルティング技能検定が誕生した背景には、標準レベル資格者のレベルアップと試験の統一があった
  5. キャリアコンサルティング技能検定2級は年2回、1級は年1回の受検チャンスがある